初めてフランス語のラップがジャズに移入されたのを聴いたのは、Steve Coleman &The Mystic Rhythmic Societyのライヴ盤だった。セネガル語のラップをそれと気が付かずに聴いたのはSteve Lehmanの“Lamb”だった。アミリ・バラカとデヴィッド・マレイ&スティーヴ・コールマンだった、初めて朗読がインプロヴィゼーションと相まってグルーヴするのを聴いたのは。日本語がポリリズミックに舞うジャズを聴いたのはDCPRGが初めてだった。ピアノレスなユニットを母体に言葉をグルーヴさせるTheifは、ヒップホップネイティヴたちのグルーヴの揺り籠。
サックス、ベース、ドラムスという編成によるフランス系アメリカ人トリオの2作目は、エレクトロニクスを用いたジャズとヒップホップが極めて高い次元で融合したエクスペリメンタル・サウンド。ヒリヒリとしたインプロの応酬に緊張感が張り詰める“Make A Fist”や、英語とフランス語でメッセージ性の強いリリックを乗せた“I Live In Fear”など、一口でジャンルを説明することは不能ながら確かなサムシングが宿る。