戦後10年。昭和30年頃の落語界を舞台にした物語。花乃家梅の丞が寄席に出れば、彼の美麗なる容姿を目当てにした女性客で連日満席となる。「ちやほやされて浮かれるんじゃねえ」と先輩方から責められる梅の丞であるが名跡の血筋を持つ彼がいるから寄席が成り立っている。しかし才能が無いのに高座に上がり続けていると梅の丞は悩み、また才能があるのに高座へ上がれない妹弟子の少女すず梅はますますその才能に磨きをかけてゆく。努力家の二枚目と天賦の才能との衝突や確執が確実に少し先に起こりそうだ。そんなふたりが織りなす落語に命を懸けた青春物語。噺の世界を巧みな絵で表現し、没入感を生む作画も素晴らしい。