ソフィア・コッポラの映画世界に大正浪漫を注入したようなジャケが吉澤嘉代子というアーティストの根幹をズバリと示す4作目。アニソンとしても機能しそうな目眩くOLソング、想像の余地の残し方が絶妙な〈朝帰り〉をテーマとするバラードといったシングル群でも匂わせていたように、本作に登場するのは〈少女〉から〈女性〉へとステップアップした主人公たち。ジプシー調やジャズ歌謡、往年のアイドル・ポップ風にイラストレーターのたなかみさきとのコミカルなデュエット・ソングなど色とりどりの楽曲には、女性の強さも弱さも可愛らしさもしたたかさも……多面的な〈女性性〉が映し出されている。怪盗やポルノ女優といったモチーフ選びも相変わらず個性的だし、転んでもただでは起きないオチがまた素敵。