5月11日(土)、12日(日)に静岡・富士山こどもの国で初開催されるキャンプ・フェス、〈FUJI & SUN ’19〉。同フェスは音楽、映画、スポーツ、キャンプから、アルパカや羊など動物とのふれあいコーナーに富士山をテーマとしたトークショーまで、富士山の大自然のなかで五感で楽しめるコンテンツが満載だ。軸となるライヴの出演陣は、エルメート・パスコアール&グループやセオ・パリッシュといった海外勢に、田島貴男(オリジナル・ラブ)やChara、cero、WONKなど大御所/若手を織り交ぜた国内の人気アーティストが勢ぞろい。音楽ファンなら絶対に響くであろう強力なラインナップとなっている。

中でも話題を呼んでいるのが、大トリを務める〈林立夫 special session with 矢野顕子 & Guests ~Plays 大瀧詠一 Early 70’s Songs and more~〉。キャラメル・ママ/ティン・パン・アレーのメンバーとして知られるレジェンド・ドラマーの林立夫が率いる形で、林が信頼する小原礼、佐橋佳幸、森俊之、そして矢野顕子と共に、自身も制作を共にした間柄である大瀧詠一の70年代初期の名曲群に矢野の楽曲も交えて演奏するという一大プロジェクトだ。さらに、ゲスト・ヴォーカルとして田島貴男、原田郁子(クラムボン) 、吉澤嘉代子、角舘健悟(Yogee New Waves)が登場するとあって、この日この場所でしか観られない、ジャンルや世代を越えた超特別なセッションとなりそうだ。

今回Mikikiでは開催を目前に、プロジェクトを率いる林立夫へ取材を実施。〈FUJI & SUN ’19〉への期待と今回のプロジェクトの内容はもちろん、大瀧詠一とその音楽についてじっくり語ってもらうという、たいへん貴重な内容となった。これを読んで、ぜひフェスへと足を運んでほしい。 *Mikiki編集部

 


〈FUJI & SUN〉はとにかく五感が喜ぶフェス

――まずは今回のスペシャル・セッション企画が生まれたきっかけから教えてください。

「〈FUJI & SUN〉からイヴェントを手伝ってほしい、というオファーがあって、いろいろと煮詰めていくうちにセッションという形を取ろうという方向で固まったんです。ちょうど去年の暮れにやったアッコちゃん(矢野顕子)のツアー〈さとがえるコンサート 2018〉のメンバーがピッタリくる面子だと思えたものですから、アッコちゃんとだったらいいのかなと閃きまして」

――矢野さんに、ベースの小原礼さん、ギターの佐橋佳幸さん、キーボードに森俊之さんという顔ぶれによる野外ライヴとはまた非常に刺激的な発想ですね。そこにどうして〈大瀧詠一〉というキーワードが出てきたのですか?

「大瀧さんってはっぴいえんどのメンバーからスタートし、ソロの音楽家として、またプロデューサーとして、すごい存在になったわけですが、その活動の入り口、最初のステップとなったのがファースト・アルバムの『大瀧詠一』(72年)で。僕も何曲か手伝わせてもらっているんですが、このアルバムがとにかく大好きでして。

ここには、何かの夜明けとか幕開け、はじまりという印象が強くあったんです。それで〈FUJI & SUN〉も今回が初開催だということで、大瀧さんの第一歩となったアルバムをテーマにするのもいいんじゃないかと。あと幕開けということでは、令和元年でもあるしね」

大滝詠一 大瀧詠一 BELLWOOD/キング(1972)

――どういうフェスになると林さんは想像されていますか?

「フェス全体のプロデューサーではないので立場上何か話すのは難しいんですが、コンテンツの内容がすごいんですよ。会場も自然豊かな環境だし、動物と触れ合うコーナーもあったり、こだわりを持った生産者たちによるマルシェがあったり、人力チャレンジ応援部が監修するアクティビティがあったり。そこに素晴らしい音楽もあって、とにかく五感が喜ぶフェスなんじゃないかな」

――出演者のラインナップで楽しみにされている方などいらっしゃいますか?

「全部楽しみです。というのも、ほとんどが初めてライヴを観る方なので(笑)。こういう場でないとなかなか会えない方たちばかりですから」

――ちなみに林さんは野外フェスがお好きですか?

「正直言って、あまり炎天下が得意ではない(笑)。だからそんなに馴染みがあるほうではないかな」

――ご自身が出演される場合も?

「野外フェスに出演するのは今回で3回目ぐらいです。日比谷野音とか屋外のライヴはけっこうありましたけどね。特に今回のようなキャンパーがいるようなフェスは初めてなので楽しみなんです。僕ね、キャンプは好きなんです。あと動物との触れ合いコーナーは、入り浸っちゃうかもしれない(笑)。アルパカがいるんでしょ? アレに触れるんだよね……」