自身が〈2回目のソロ・デビューのような、フレッシュなアルバム〉と語っている通算9作目は、長らく組んできたagehaspringsとのタッグを解き、(1曲を除いて)彼女みずからのサウンド・プロデュースによって編まれたもの。集められたミュージシャンは、川本真琴、Chara、津野米咲、吉澤嘉代子、尾崎世界観、西寺郷太、細野晴臣、堀込泰行、前野健太ら、彼女がよく知った人から憧れの人まで。楽曲は全体的に穏やかで決して派手なものではないが、コク深いメロディーとニュアンス豊かなアレンジメントによって、ふくよかで美しいフォルムのポップスに仕立てられている。ラスト“美しいわ”の〈穏やかな心を 優しい歌を 歌いながら 私は変わっていく〉が、いまのYUKIを物語っている。