気鋭の二人が臨んだ予想外の手合わせは、刺激的な化学反応によってコンビネーションの必然性を生み出した! 音の届く先を意識したタイムレスな魅力を存分に味わえ!!
タイトなライヴと、音源としては直近でillmoreのアルバム『ivy』への参加など、新進気鋭のラッパー/トラックメイカーとして注目を集める18scott。そして、LOW HIGH WHO?や術ノ穴からのソロ作リリース、JinmenusagiやDAOKOへのトラック提供、downyのライヴ・メンバーとしての活動など多角的な動きを見せるトラックメイカーのSUNNOVA。そんな二人がタッグを組み、生み出されたアルバムが『4GIVE4GET』である。
「あまりシーンに属してないし、アーティストの友達も無理に作ったりはしてなくて。僕は藤沢で生まれ育ってて、同じ藤沢のDINARY DELTA FORCEをはじめとするDLiPの方々は格好いいですし、もちろんリスペクトもしてるんですけど、あんまり繋がりがなくて」(18scott)。
「お互いに〈どこどこのクルー〉とかに属してないし、何かの色に染まるのが苦手だと思うんですよね。僕自身もトラックメイクを始めるまではずっとバンドをやっていて、その後はテクノとかにもハマッてて。ヒップホップ系のトラックを作るようになってからは、いわゆるビート・テープ・シーンのイヴェントにも参加してたんですけど、そこにどっぷり浸るという感じではなかったですね」(SUNNOVA)。
その意味でも、お互いにマージナルな感性の持ち主であり、そこは共通点でもあったのだろう。
「だから繋がったのも誰かの紹介とかじゃなくて、ライヴで一緒になった時に話しかけたのがきっかけですね。〈こんなに格好いいライヴをする奴がいるんだ、一緒に作品を作ってみたい〉と思って」(SUNNOVA)。
そして生み出された『4GIVE4GET』は、18scottの現行のフロウやラップ・アプローチを採り入れながらも情報密度の濃いラップと、時にアンビエントに、時に浮遊するように、時にタイトにビートを刻むSUNNOVAのビートが噛み合った一作。一聴すると不思議な感触がありつつも、聴き込むほどにタッグの必然性が感じられるようになる、コラボであることの意味がしっかりと伝わる構成が印象的だ。
「〈THE ヒップホップ〉っていうタイプのラッパーとはコラボしたことがなかったから、僕のトラックとそれがぶつかった時に何が生まれるのかに興味があったし、彼と一緒に作ることで僕の音像もヒップホップとして受け止められやすくなると思ったんですよね。それから18scottはフックが作れるんで、それによってより聴いてもらえる内容にもできると思って」(SUNNOVA)。
「お互いに音楽性のベクトルが違うからこそ、組んでみたかったんですよね。それによって、ヒップホップがとにかく好きなリスナーにも、ちょっとオシャレな音楽が聴きたいなと思ってるリスナーにも、広く届く作品になったと思います。ラップも密度濃くラップする部分とヴォーカルっぽく軽くする部分をちゃんと考えて、どんな人も楽しめるバランスを狙った部分はありますね。やっぱり多くの人に届けられる能力があるのかどうかは大きなフィールドに立った時に問われると思うし、いまの段階で、それができることを証明したかったんです」(18scott)。
なお、アルバムに先駆けてはEP『Teardrop』がデジタル・リリースされている。
「時間軸的には『Teardrop』のほうが後に出来ているので、新鮮なのはEPだと思うんですが、アルバムは普遍性が高い内容だと思いますね」(18scott)。
その言葉通り、BASI(韻シスト)やNF Zessho、サトウユウヤも参加したオリジナル12曲に、Aru-2とRamzaによる2曲のリミックスを加えた『4GIVE4GET』は、メッセージ性やトラックも含め、タイムレスな魅力に貫かれている。〈一作で終わることは考えていない〉というこのタッグが、どのようなエフェクトをシーンに起こすのか、ワクワクさせられるアルバムだ。
『4GIVE4GET』に参加したアーティストの作品。
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