大躍進を続ける4人組が1年8か月ぶりに放つフル・アルバム。色鮮やかなストリングスが眩しい“10時の方角”に始まり、冬曲の王道路線に挑んだ“ホワイトマーチ”や、渋いサックスが鳴り響くAOR風の“あの手、この手”にはゲスト・ヴォーカルに吉澤嘉代子を招聘(曲構成も秀逸!)と、さまざまな音楽を噛み砕いてポップスに落とし込む手腕は相変わらず見事。ジャジーなソロ回しで魅せる“Strawberry Fields”の技巧にも痺れる!
白黒の音符をカラフルに色づけたようなsumikaの音楽は、春の幕開けにぴったり。〈はじまりはじまり いざスタートライン/ここからは補助輪なし〉と歌う、爽やかで心強い“10時の方角”からはじまり、タイアップ曲の“ファンファーレ”“フィクション”とポップさのギア全開で、背中を押してくれる曲が続く。かと思いきや、 “秘密”“ゴーストライター”はしっとりと聴かせ、胸をキュッとさせることを忘れない。前作のアルバム名がタイトルとなっている“Familia”は、ラヴソングであると同時に、メンバーとファンの関係を象徴しているかのよう。サビでのかけ合いがライヴで楽しみな一曲。sumikaが鳴らした『Chime』の音は、〈はじまり〉が訪れる季節を、陽気に切なく爽やかに彩ってくれる。