チリヌルヲワカ 『太陽の居ぬ間に』 自己と対峙し続けたユウの孤高の姿と、その美しさを増幅させるグルーヴ

2019.05.09

先日のんちゃんのニュースがあったばかりだし、どうしてもユウと言えば〈あの頃〉のイメージが強い人も多いと思う。でも、〈7合目を過ぎたあたりで/歩いてる意味さえも忘れ去ってしまった/振り向けば眼下に広がる/選ばれし者にしか拝めないこの景色〉という“トライアングル”の歌詞が示すように、いまの彼女はひたすらに何かを突き詰めようとしているように見える。それが何かは誰にも分からないし、本人も〈歩いてる意味さえも忘れ去ってしまった〉のかもしれないが、そうして自分の内面にざぶんと潜り、自己と対峙し続けた結果のような、ユウの孤高の姿が本作にはある。言い換えれば、ひたすらにダークで、ひたすらに内省的な作品だ。

圧巻なのはタイトル・トラック“太陽の居ぬ間に”。B(=シ)の音1音しか使っていないサビは、コード進行もコーラスもなかったら歌というより呪文やお経に近いものだし、別の曲の言葉を借りるならば、数々のヒット曲を作ってきたユウの〈一番哀しいメロディ〉だ。でも、だからこそ、そこには儀式で舞い踊る巫女のような妖しい美しさと格好良さがある。そしてそれを増幅させるイワイエイキチと阿部耕作のグルーヴ。最強のトライアングル。

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