ドラマー阿部耕作が脱退し、ユウとイワイエイキチの2人体制(+サポート・ドラマーに中畑大樹)となって初のリリースとなる11作目。自由に生きたいのに何かが邪魔をする“ソナタ”。毎日に嫌気が差し猛獣や魚や植物に憧れる“サピエント”。満員電車に詰め込まれた人たちの人生を憂う“使命”。今とは違う選択肢を選んだ自分を考える“平行世界”。ゾンビやアンドロイド、エイリアンに捕まる前に幸せを求める“アンデッド”。年齢や時間を重ね、未来への焦りを募らす“それでも世界が続くなら”。これまでの行いが正しかったことを証明したい“証明”……と、7曲いずれも、重たいロックに乗せて歌われるのは報いも救いもないクソな現実世界。しかしそんな真っ暗なネガティヴの山積みの奥底に、〈鍵を開けてもっと自由に 朝まで空を飛び回りたい〉(“ソナタ”)、〈永久の夕凪に愛を浮かべたい〉(“証明”)と、ユウのささやかな願望だけが光を射す。それで、結局何か変わるのか、変わらないのか。どうしてもこの人の今後を見届けたい。