高品質の音楽性で熱狂的な支持を広げ続けるTokyo 7th シスターズが5周年! その中心ユニットの新シングルが映し出すのは、どこか意味深な夏の風景で……
〈ナナシス〉が加熱する理由
〈アイドル〉という存在が時代遅れのものとなった西暦2034年の近未来を舞台に、劇場型スタジオの支配人となったプレイヤーが新しいアイドルの育成を行うスマホ向けアプリゲーム〈Tokyo 7th シスターズ〉(以下、ナナシス)。リズムゲームとアドベンチャーゲームの要素をミックスした本作は、2014年のサーヴィス提供開始からコミカライズや小説といったメディアを横断する展開で支持を広げ、今年2月、ついに5周年を迎えた。
ここ数年、二次元アイドルの人気の上昇に伴い、そうしたジャンルのアプリゲームやコンテンツが次々と新登場するなか、なぜ〈ナナシス〉はその人気をずっと堅持し、今なお熱狂的な信者を増やし続けているのか? それはもちろん、キャラクターの人間性やドラマによりスポットを当てたシナリオの魅力を含めたゲームの内容によるところもあるだろうが、ここで注目したいのは、その音楽面の充実ぶりだ。
〈ナナシス〉というコンテンツは、昨今のメディアミックス作品にしては珍しく、ひとりのクリエイターの色が濃く出ている。それは本プロジェクトの原作者であり総監督の茂木伸太郎が、ゲーム、音楽、ヴォイスドラマ、MV、ライヴ、パッケージのデザインまでに至る、コンテンツの隅々にまで直接タッチしているからだ。彼は総合音楽プロデューサーとして〈ナナシス〉の全楽曲の制作にも関与。また、SATSUKIUPDATE及びカナボシ☆ツクモ名義でほとんどの楽曲の作詞も手掛けている(一部楽曲では作曲も担当)。世界観やキャラクター設定などを企画段階から考案し、〈ナナシス〉という物語のすべてを知り尽くした創造主たる人物がみずから作家としても携わっている、という特性が〈ナナシス〉の音楽にはある。
また、茂木は学生時代にバンド活動を行っていたほどの音楽好きで、Hi-STANDARDからジャズ、エレクトロニカなどまで聴いていたという。そうした彼のバックグラウンドは、いわゆるアイドル的な可愛らしさを追求するだけではない、〈ナナシス〉楽曲の多様性に大きな影響を及ぼしているように思う。例えば本作のために作られた最初の楽曲、セブンスシスターズ“Star☆Glitter”(2014年)は、kz(livetune)製の星空のように煌びやかなエレクトロ・ハウス。kz(livetune)は以降も継続的に楽曲を提供しており、特に同じくセブンスシスターズの“SEVENTH HAVEN”(2016年)はある種の凶暴性をも感じさせるメタリックなEDM調に仕立て、アニクラ(アニメ音楽を中心としたクラブ・イヴェント)における〈ナナシス〉人気を決定付けた。
意味深なサマー・ソング
〈ナナシス〉には他にもさまざまな方向性のユニットが存在しているが、そのメイン・グループとなるのが、ゲーム・プレイヤーが運営するスタジオ〈777(スリーセブン)〉に所属する12人のアイドルで構成された777☆SISTERS。もともとはそれぞれ別々に活動していた4つのユニットが〈次世代アイドル〉というテーマのもと集結したもので、物語は彼女たちの成長を中心に描かれている。その楽曲はもちろん、ユニットのそのときどきの状況やコンセプトに合わせて制作されるわけだが、なかでも今回のニュー・シングル“NATSUKAGE -夏陰-”は、非常に意味深な作品として捉えることができそうだ。
瑞々しく揺らぐギターと清涼感たっぷりのビートが、終わりゆく夏のメランコリックな風景を呼び起こす表題曲は、ゲームの最新話〈EPISODE 4.0 AXiS〉のエンディング・テーマとして制作されたもの。作詞はSATSUKI-UPDATE、作/編曲は藤田卓也が担当している。サビの〈右手に残った/さよならが今も痛むよ〉といったフレーズをはじめ、歌詞には別れの喪失感が貼り付いており、最新のエピソードで777☆SISTERS始まって以来の波乱が訪れている状況と照らし合わせると、どうしても不穏な気持ちを拭えない。これまで“僕らは青空になる”(2015年)で〈高過ぎてあきらめた青空に/今日は届きそうな気がするんだ〉とトップ・アイドルへの憧れを晴れやかに歌い、“STAY☆GOLD”(2017年)で見上げた空の上に虹を見つけてきた彼女たちが、〈日ごと高くなる青空の行方を/ひどく眩しそうに見ていたあなた〉のいない夏を、どこか切々とした響きのハーモニーを重ね合わせて表現する。思えば2017年のシングル表題曲“ハルカゼ~You were here~”は春の別れと新しい旅立ちを描いた合唱曲だったが、今回の“NATSUKAGE -夏陰-”はその夏版とでも言うべき、青春時代の繊細な感傷を封じ込めたサマー・ソングになっている。
一方、作詞をカナボシ☆ツクモ、作/編曲を黒川陽介が担ったカップリング曲の“夏のビードロ☆シンフォニー”は、夏の甘酸っぱいメモリーを躍動感溢れるリズムとキラキラとしたシンフォニック・サウンドに乗せて届ける陽性のナンバー。昨夏には初の日本武道館公演を大成功させた〈ナナシス〉だが、7月に千葉・幕張メッセでの5周年記念ライヴ2デイズを控える今年の夏も、このシングルと共に最高の思い出を作ってくれるはずだ。
7月3日にリリースされるTokyo 7th シスターズのライヴ盤『t7s 4th Anniversary Live -FES!! AND YOUR LIGHT- in Makuhari Messe』(ビクター)。その他、DVD/BD版もあり
777☆SISTERSの他にも華やかな個性が! 〈Tokyo 7th シスターズ〉に登場するユニットたちを紹介!!
WITCH NUMBER 4/SiSH/NI+CORA/サンボンリボン/はる☆ジカ(ちいさな)
777☆SISTERSを形成する4つのユニット、その1組目が女子高生ハッカーをイメージして結成された近未来テクノ・ポップ・ユニットのWITCH NUMBER 4。スウィートな加工ヴォイスに眩い打ち込みサウンドという楽曲群は、Perfume以降の王道路線をよりキャッチーに追求している印象だ。2組目のSiSHは、〈通勤バスの中で見かけた清楚なカノジョ〉をテーマにしたという、他のメンバーよりちょっぴりお姉さんな雰囲気の3人組。こちらもエレポップなテイストの楽曲が多いものの、歌詞の世界観にどこか文学的な香りが漂う場合もあって、どこかまろやかな味わいに。そして3組目のNI+CORAは、ティーンエイジャーの女子らしい気ままな振る舞いとクールな佇まいが魅力的なデュオ。楽曲ごとに異なる表情を見せてくれるが、本作収録の“CHECK'MATE”では夢見る少女じゃいられない心情をロッキッシュに聴かせてくれる。最後は〈心のどこかにいつも、小さな女の子〉をテーマにガーリーな部分を打ち出した三姉妹ユニット、サンボンリボン。溌溂としたバンド・サウンドと華麗なストリングスが絡み合うポスト渋谷系な音楽性は、3人の絹のように柔らかな歌声にも驚くほど馴染んでいる。
それとは別に、WITCH NUMBER 4の春日部ハル(CV:篠田みなみ)とサンボンリボンの晴海カジカ(CV:高井舞香)で結成されたのが、はる☆ジカ(ちいさな)。ステータスを〈キュート〉に全振りしたような天真爛漫なポップスは、聴けば自然と笑顔になってしまうはずだ。 *北野 創
Tokyo 7th シスターズの作品。
SU♡SUTA(きゅうとな)
〈片想い〉をテーマとするCi+LUSに対抗して結成された臨時ユニットのコンセプトは〈恋する女の子は一途でわがまま〉。本シングルのカップリングとして収録の“ラブリー♡オンリー”では、どこまでもポップに転がるバンド・サウンドに乗せて、止まらない恋心をキュート&ストレートに表現している。 *土田
Le☆S☆Ca
甘酸っぱさ全開の〈微炭酸系青春アイドルユニット〉による新シングルに田淵智也が初登板! 彼が担った表題曲は、シンセ・ストリングスが躍動するバンド・サウンドに清純な3声の多彩なフォーメーションを組み込んだ流石の一曲に。跳ねたビートとリズミックなメロが踊るカップリングもご機嫌な出来。 *土田
The QUEEN of PURPLE
魅惑のハスキー・ヴォイスを持つ越前ムラサキ(CV:野村麻衣子)を擁する4人組バンド。先行デビューしていた4Uとの差別化を図ってか、音楽性はメタル~ハード・ロック寄り。この初アルバムには、合唱必至のアンセム・ロック“DAYS”や各メンバーのソロ歌唱曲なども収録している。 *北野
Ci+LUS
激甘ヴォイスで耳をくすぐるデュオのテーマは〈恋に恋するふたりは、まだシトラスの香り〉。最新シングルの表題曲は、ポーカーになぞらえて素直じゃない恋心を吐露する歌唱と、晴れやかなビッグバンド・サウンドが見事にマッチ! 一方のシャッフル曲と共に、ラヴリー&ファニーな魅力が満載。 *土田
CASQUETTE'S
全ユニット中でもお姉さん的な立ち位置の面々が集った〈淑女たちの強さと可愛らしさ〉を掲げる4人組。初シングルの表題曲は、ビッグバンド調のゴージャスなサウンドを背景に、4人の歌が目くるめく展開を見せるミュージカルの如き一曲。やさぐれた色気が漂う80s歌謡曲風のカップリングも良き。 *土田
七花少女
777☆SISTERSの妹分としてデビューした7人組。〈野の花〉のような強さと可憐さを体現する歌唱は、自信を持てない主人公が恋をきっかけに一歩を踏み出したいと願う初シングルの2曲にピッタリ。昂揚感たっぷりの表題曲と4つ打ちを交えて切なく疾走するカップリング、2通りの〈青さ〉が眩しい。 *土田
4U
777☆SISTERSのライヴァルとして登場した、女子高生3人によるバンド・プロジェクト。キャッチーなポップ・パンク“メロディーフラッグ”をはじめ、持ち曲には軽快&明快でノリやすいロック・ナンバーが揃っており、リアルでも単独ライヴを開催するほどの人気を誇っている。 *北野
KARAKURI
一卵性双生児の姉妹で結成された双子ユニット(声優は秋奈が一人二役で演じている)。〈ナナシス〉の世界ではトップ・アーティストという位置付けで、R&Bタッチのメロディーとエレクトロ・サウンドを融合した楽曲群はまさに近未来風。甘く煽情的な歌声も他のユニットにはない魅力だ。 *北野
AXiS
〈最凶の刺客〉という謳い文句と共に登場した、セブンスシスターズと同じ声を持つ6人組(実際に声優も同じ)。タイトルからしてセブンスの“SEVENTH HAVEN”を意識したであろう表題曲は、セクシーさと極悪さが入り乱れた昇天必至のハード・ステップで、kz(livetune)の面目躍如たる一曲。 *北野
セブンスシスターズ
劇中ではすでに解散しており、777☆SISTERSのメンバーにとってめざすべき存在となっている伝説のアイドル・グループ。基本は未来的なダンス・チューンが多いが、彼女たちのインディー時代の楽曲という設定の本シングルでは、いつもより荒々しい疾走ロックで革命の狼煙を上げている。 *北野











