INTERVIEW

クリスチャン・サンズ、脚本を書くように曲をつくる気鋭のジャズ・ピアニスト

撮影 : 山路 ゆか

脚本を書くように曲をつくる~30歳にして長いキャリアをもつ気鋭のピアニスト

 この5月に30歳になったばかり。だが、初アルバムを13歳にして作るなど、経験と知見は山ほど。そんなクリスチャン・サンズは人気ベーシストのクリスチャン・マクブライドのトリオに起用されることで広く知られようになり、現在は気鋭のジャズ・マンが多々在籍するマック・アヴェニューと契約している。マンハッタン音楽院卒、ピアノを4歳から始めた彼はずっとピアノと向き合い続けてきた。

 「ピアノはオーケストラになりえるし、一方ではミニマルにも扱える。といったように、可能性がたくさんあるというのが、僕がピアノを選んだ理由だ。子供の頃からやっているから、もう僕の一部というしかないな」

 そんな彼のピアノ演奏は素晴らしく幅が広く、ブリリアント。オスカー・ピーターソンのような王道からロバート・グラスパーのような同時代の奏者まで、彼の演奏には様々な様式を見出すことができる。また、時にブルージィな弾き方を見せ、一方ではラテン・ジャズ調も得意であるなど、彼はオールマイティな弾き味を誇る。

 「ウィントン・ケリー、アーマッド・ジャマル、バド・パウエル、アート・テイタム。そんな彼らの次のステップとしてピーターソンはいるし、僕はすべからく秀でた人たちに影響を受けている。そうした蓄積を、僕の個体を介して出すとどうなるかということを実践しているわけだね。また、ロバート・グラスパーは同じアフリカン・アメリカンであり、ゴスペル育ちでヒップホップも聴き、世代も近い。テレンス・ブランチャードとか共演してきた奏者も重なるし、近い部分があっても不思議はない」

CHRISTIAN SANDS Reach Mack Avenue Records/King International(2017)

CHRISTIAN SANDS Facing Dragons Mack Avenue Records(2018)

 クリスチャン・マクブライドがプロデュースした2017年作『リーチ』、そして新作『フェイシング・ドラゴン』はそうした発言を裏付ける多様な仕上がりを持つ。よく書き分けられた自作曲で固められた新作(唯一のカヴァーが、ザ・ビートルズの《イエスタデイ》)ではブラジル出身の新鋭ギタリストや達者な2管や二人の打楽器奏者を曲により効果的に起用、過去と現在が矛盾なくつながったスケールの大きなジャズ・ピアノ表現をモノにした。

 「僕は曲を書く際に、サウンドも一緒に想起する。だから、参加者は伝えたいストーリーに沿った登場人物といった感じなんだ。曲作りというのは、脚本を書くことに近いのかな。『フェイシング・ドラゴン』は、自分が抱えている問題に向き合い一つずつ自問していく感じがあった。僕の内にある様々な“ドラゴン”と対峙する……アルバム表題はそんな意味を持つんだ」

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