近年はベルリンに活動拠点を移している、ブエノスアイレス出身プロデューサーの3作目。ニコラ・クルスらに続く〈エレクトリック・フォルクローレ〉なる呼称はともかく、南米ルーツ音楽のさまざまな楽器とリズム、郷愁を誘うアンデス由来のメロディーといった生来のエッセンスがベルリン仕込みでいささかフロア・フレンドリーになった模様ではあるが、シンプルな構成ゆえの強靭で独特なグルーヴは不変だ。目下シーンで話題のフィーメール・トリオ、フェミナのメンバーがヴォーカルを担当する“Perfume”、エクアドル・シーンの次代を担うウアイラを迎えた“La Luz”など、客演にも目配りが利いている。南米産クラブ・ミュージックの新たなフェイズにおける重要な一枚といっていいだろう。