女性版カエターノ・ヴェローゾと称されるMPBの代表的歌手、アドリアーナ・カルカニョット
の4年ぶり新作はカエターノ同様いまだに攻めの姿勢を崩さない。98年の『Maritmo』、2008年の『Mare』に続く海の3部作の完結編だという本作のタイトルは水と陸の境界を表すのだそう、アートワークに写るのは髪を短く刈った彼女の周りに浮かぶ大量のペットボトルの残骸、そこには彼女の海への想いも浮かんでいるのだろう。流石の人選と言うべき21世紀のトロピカリズモを体現するバンド、トノのメンバーを従えることでバンド・サウンドのダイナミズムと衰えぬ実験精神も同時に鳴らせている。