アンジェラ・ヒューイット 『J.S. バッハ: 6つのパルティータBWV.825-830 』 澄明な美を奏でる20年ぶりの再録音

ANGELA HEWITT 『J.S. バッハ: 6つのパルティータBWV.825-830 (2018年新録音)』 Hyperion (2019)
2020.01.29

約4年にわたる新しい「バッハの旅」を2020年に終えるアンジェラ・ヒューイットが、約20年ぶりに再録音したバッハ作品の霊峰。アンジェラ所有のファツィオリが奏でる澄明な美は、まさに響きの精華だ。雅趣豊かに綴られる舞曲の数々には、深く重ねられた熟成が表れ、淡然とした歩みの美しさが醸し出される。端麗な全姿に見惚れ、ひと節の詳細に埋没する快楽。速度の緩急に染められためくるめく音の残像を追いかけたり、精緻な響きの味わいを自らに落とし込もうと噛みしめたりすることの愉楽。ヒューイットが共有してくれるバッハのそういった醍醐味を、この2枚組は音楽の内奥から聴き手に開示してくれる。

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