活動20周年を前に届いた10枚のフル・アルバムで、6人の音は大幅な刷新を果たした。従来のバンド・サウンドは後退し、打ち込みを多用したエレクトロニックな作風にシフト。そのうえでBPMをグッと落とし、昨今は日本のバンドでも少しずつ増えてきた、低音域を存分に鳴らす音作りを突き詰めている。この変化は現行のヒップホップの影響を強く感じさせるもので、実際に随所でラップだけでなくトラップのビートを鳴らしている。一方、前作では鳴りを潜めていたEDMの要素がふたたび採り入れられ、シンセのリフや強力なドロップでダイナミズムを生んでいるが、音数そのものはかなり削ぎ落とされた印象。曲中で次々と展開を変えていく緻密な構造も含めて、類例のないサウンドを鳴らす力作だ。