2020.01.31

DO YOUR DANCE
絶頂と停滞を経験しても苦しみの底から立ち上がり、ふたたびシーンの最前線まで駆け戻ってきたケシャ。多彩にして多才な面々と刺激的なコラボレーションを展開した4枚目のアルバム『High Road』は、改めてその別格ぶりを証明する!!

 〈TikTok〉というワードを耳にするといまでも真っ先にケシャのことを思い出す……という人はまあまあの年齢だとしても、デビューから数年のヒット街道を驀進する彼女には目を見張るものがあった。ただ、同時期に台頭していたレディ・ガガと競うほどの活躍から一転、本人名義作のリリースは『Warrior』(2012年)で途絶え、やがて当時のメンターであったドクター・ルークとの訴訟によってその背景が明らかにされると共に、しばらく彼女は音楽活動を停滞させざるを得なくなってしまったのだ。それだけに2017年の3作目『Rainbow』が全米1位を獲得し、グラミーにもノミネートされたのは喜ばしいカムバック劇だった。そして、それから約2年ぶりとなる今回のニュー・アルバム『High Road』を聴いて感じるのは何とも言えない活力だ。ルーツ志向の色合いも濃くした前作がある種のリハビリ感がある一枚だったとしたら、今回は苦しみを乗り越えたうえで、改めて絶頂期の続きを描く意志を見せた作品だと言えるのかもしれない。そうでなくても、ポップなダンス・トラックやラップ・チューン、フォーキーなナンバーなど、鮮やかな彩りがケシャの持ち味を出し惜しみなく表現しているのは間違いないだろう。

 複数のプロデューサーを迎えたのも奏功していて、ヴェテランのジェフ・バスカーやジョン・ヒル、ドリュー・ピアソンやスチュアート・クライトンらが楽曲ごとに異なる彼女の魅力を引き出している。なかでも重要なのは、ビッグ・フリーダを迎えた賑やかなポップ・バウンスの先行ヒット“Raising Hell”を手掛けたカナダのスティントだ。彼は冒頭の“Tonight”から都合4曲をプロデュースし、エッジーな新しいケシャ像に寄与。コラボの妙味という意味では、スタージル・シンプソンとブライアン・ウィルソン(!)、レイベルを迎えた穏やかなカントリーの“Resentment”も絶品。同曲を制作したジョン・ヒルはブーティーでアグレッシヴな“My Own Dance”も手掛けて硬軟自在に手腕を発揮している。かように多彩な表情が楽しめる『High Road』、控えめに言っても完全復活と叫んでおきたくなるような快作だ。

 

TOWER DOORS
pagetop