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メイ・サン(Mae.Sun)『Vol.2:Into The Flow』ネオ・ソウルを通過したミレニアム世代のコンテンポラリー・ジャズ

メイ・サン(Mae.Sun)『Vol.2:Into The Flow』ネオ・ソウルを通過したミレニアム世代のコンテンポラリー・ジャズ

ネオ・ソウルのフィーリングをフュージョンしたミレニアム世代のコンテンポラリー・ジャズ

 前作より2年のインターバルを置いてMAE.SUN (メイ・サン)のセカンド・アルバムが届いた。メンバーの中心人物であるサックス奏者、ヘイリー・ニスワンガーは若くしてその才能を見出され、10代にしてリーダー作を発表。またエスペランサ・スポルディングと共演するなど、その実力は折り紙付き。また彼女がサックスだけでなく自らヴォーカルを取る楽曲も収録されているとあっては、期待はさらに膨らむ。

MAE.SUN Vol.2:Into The Flow rings(2020)

 楽曲は全8曲だが、それぞれに個性があり、その振り幅は彼らの才能と比例するかのように大きい。コンテンポラリーなジャズをベースにしたインストゥルメンタルでは、現代におけるスピリチュアルジャズを体現し、カマシ・ワシントンやダニー・マッキャスリンなどの世界感とも近い静謐と衝動がバランスする。ブレイクビーツ的リズムから空間を浮遊するようなサウンドスケープ、エフェクティブな音色まで違和感なく聴かせてしまうあたりはイマドキの天才らしい如才の無さだ。さらにヴォーカル曲では、これぞネオ・ソウル!と膝を打ちたくなる心地よいグルーヴを展開。ゲスト・ヴォーカルがムーンチャイルドのアンバー・ナヴランとくれば、その辺は大いに納得。しかしネオ・ソウル風の凡百のバンドと一線を画すのは、そういった楽曲の中にあっても、聴き応えのあるメンバーのソロがキッチリ用意されているあたりだろうか。

 1曲1曲の織りなすカラーが際立っており、個性あふれる楽曲群で構成されたアルバムだが、通して聴くと不思議と全体としてのまとまり感がある。ジャズという概念が大きく様変わりした昨今を、当たり前のように受け入れて育ったミレニアム世代が奏でる音楽には、ある意味ジャンル付けやステレオタイプな先入観は無用の長物であることを改めて認識させられる。すでにメインストリーム化しつつあるこの手の音楽シーンにおいて、頭ひとつ抜けた存在として認知されるまではそう時間がかからないかもしれない。

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