jailbird YがCall And ResponseのBandcampからニュー・シングル『秘密の暗号Y』をリリースした。
2009年に広島で結成されたハードコア・パンク・バンド、jailbird Y。ハードコアのエネルギー、初期のBOREDOMSのようなカオス、そしてポスト・パンクのダイナミクスと歪んだポップセンスを一緒くたにした唯一無二の音楽性で、常に進化し続けているバンドだ。
jailbird Yは2017年にメンバーを一新、広島のanndoeとsayoccoを中心に、新しいラインナップに移行。東京の活気あるポスト・パンク/オルタナティヴ・シーンからmayumi(P-iPLE)、tagesu(満州候補者/NO)、saeki(ex-都心)、$umitⒶ(ex-Compact Club)が加わった。
2010年にアルバム『JAILBIRD Y』でデビューしたjailbird Yは、『UMS ep』(2013年)、『SEX TRIP ep』(2017年)とリリースを重ねている。またCall And Responseによるコンピレーション・アルバムで、すでに完売してしまっている『Throw Away Your CDs Go Out To A Show』(2017年)には、MELT-BANANAやPANIC SMILEといったヴェテランたちと共に参加した。
ライブではOOIOO、DMBQ、あふりらんぽ、Acid Mothers Temple、Bloodthirsty Butchers、ズボンズ、フガジのジョー・ラリーら、アンダーグラウンド・レジェンドと共演し、日本の新たなポスト・パンク・シーンの重要な部分を形成している。さらにベトナムの〈Dao Xuan Festival〉への出演、台湾ツアーの敢行、韓国アーティストとのライブ配信を実施などによって、アジアに活動領域を拡大している。
そんなjailbird Yの新作『秘密の暗号Y』は、イアン・F・マーティン(「バンドやめようぜ!――あるイギリス人のディープな現代日本ポップ・ロック界探検記」)が主宰するレーベル、Call And Responseからのリリース。2019年8月10日に台湾・台北で録音されたもので、メンバー・チェンジ後のバンドとって初の作品となっている。またベースには、満州候補者のmoriを迎えているとか。
『秘密の暗号Y』には、“Y War”“LOVE LETTER”の2曲を収録。テンポをぐっと落とすパートを挟んで暴発する“Y War”と、こちらもテンポ・チェンジが鍵となっている“LOVE LETTER”。いずれも刺々しさとユーモアが独特のポスト・パンク・サウンドに込められている。これらを聴いて、フォンテインズ・D.C.(Fontaines D.C.)やマーダー・キャピタル(The Murder Capital)といったアイルランドの新たなポスト・パンク・バンドたちとぜひ共演してほしい、と思った。
『秘密の暗号Y』のBadcampでの収益は、すべて東京・中野のスペースであるMOON STEPに寄付されるとのこと。またMOON STEPへのドネーションTシャツも併せてリリースされており、こちらは台北のアーティスト、Joseph Mauroによる写真をDeath-Kichiがデザインしたものとなっている。