2025年も残りわずか。今年も数多くの名作・名盤が生まれましたが、皆さんはいくつチェックしましたか? ここではベテランやレジェンドと称されるアーティストを中心に、今年リリースされた作品(新譜、リイシュー、周年盤など)をまとめました。買い逃した、聴き逃したアイテムがあればこの機会に手に入れちゃいましょう! *Mikiki編集部
1月リリース作品
2025年の年明けすぐにスタートを切ったリンゴ・スター。T・ボーン・バーネットがプロデュースした新作はなんと55年ぶりのカントリーアルバム。ジョー・ウォルシュ、アリソン・クラウス、ラーキン・ポーなど重鎮から若手までが参加した好盤で楽しく聴ける1枚だ。
フランツ・フェルディナンドが1月初頭にドロップした6thアルバムは、エレクトロな要素も吸収した前作での取り組みを完全に我が物とした傑作に。歌メロだけでなくギターリフからベースラインまで口ずさめるほど全体的にキャッチーで、フランツ流の踊れるロックが健在であることを証明してみせた。本作を引っ提げた12月の来日公演も大盛況。日本のオーディエンスは皆彼らが大好きだ。
今年バンド結成30周年を迎えたベテランは、通算11枚目のスタジオアルバムをリリース。コロナ禍に発表した前作『As The Love Continues』で初の全英1位を獲得したものの、その後メンバーそれぞれの前に困難が立ちはだかり、そこで生まれた喪失感などを基に本作が制作されたという。個人的にはスワーヴドライヴァーっぽい“Fanzine Made Of Flesh”が好み。3月にはジャパンツアーも開催した。
ミディ在籍時の全シングルと1991年に自主制作でリリースした“グッドモーニングブルース”、さらに1972年にURCより発表した“もう春だね”“乾杯”を1つにまとめたコンピレーション盤。日本語でカバーしたエルビス・プレスリー“Love Me Tender”や、BO GUMBOSがバックバンドで参加した“朝は詩人”“ゆうれいなんていかしてる”などを一挙に聴けるのは有難い。全て最新リマスター音源ではあるものの、楽曲そのものに宿る時代性や当時の匂いはしっかりと残っている。
再発モノではタワレコ限定リリースのTHE ROOSTERSの『The Basement Tapes~Studio Session 1980』『The Basement Tapes~Live 1982』の2作も見逃せない。いずれも長い間入手困難だった作品で、今回最新リマスタリングを施して再発された。前者には日本コロムビアからデビューする以前のスタジオセッションの模様を、後者は3rd『INSANE』をリリースした翌年に新宿LOFTで行ったライブ音源をそれぞれ収録している。粗削りな演奏とバンドの過度期の姿がパッケージされたファンなら必須のアイテムだ。
2月リリース作品
デビュー記念日(2月10日)にリリースされたCD 3枚組のベスト盤。ファンによるリクエスト投票の上位35曲を収録しているだけでなく、当時ZARDのレコーディングエンジニアを務めていた島田勝弘が新たにリマスタリングを手がけた音源を使用している点にも注目。“負けないで”などJ-POP史に燦然と輝くヒット曲が並ぶなか、“あの微笑みを忘れないで”や“Oh my love”のようなアルバム曲が選ばれているあたりにファンの深い愛を感じる。リマスター音源を真に楽しむ意味でも、ぜひCDで聴いてほしい。
槇原敬之の自社レーベル設立15周年を記念したベストアルバムには、この15年で発表したシングル曲やセルフカバー曲、書き下ろしの新曲“You Are the Inspiration”を加えた31曲を収録。本作を携えたホールツアーから7月の東京ガーデンシアター公演の模様を収めたライブ映像作品も11月にリリースされている。Mikikiでは槇原のデビュー35周年を記念してbutajiに特別寄稿してもらった独自コラムを掲載しているので、こちらも改めてチェックしてもらいたい。

祝結成40周年! プログレメタルの覇者として君臨し続けるドリーム・シアターがマイク・ポートノイの電撃復帰を経て放ったニューアルバムは、新体制となったバンドのマッシブでメタリックなサウンドに思わずガッツポーズしたくなる意欲作だ。11月にリリースされた2024年のパリ公演の音源を収録したライブ盤も好盤で、これら2作を聴いて2026年の来日ツアーに備えたい。
1974年にリリースされた3rdアルバムの50周年記念盤が堂々登場。SACDで聴くアルバム本編も素晴らしいが、本作で注目すべきは世界初CD化された1975年のサンフランシスコ公演のライブ音源のほう。当時26歳のビリーが歌う“New York State Of Mind”や“Roberta”のみずみずしさには思わずうっとりとしてしまう。これだけでも買う価値あり。
エピック時代(1971~2003年)のカタログから31曲を厳選した日本独自企画ベスト。ちょうど今年は名盤『Blow By Blow』の発売50周年というタイミングでもあって、同作からは“Scatterbrain”“Cause We’ve Ended As Lovers”などが収録されている。フュージョン要素の濃い1970年代からハードなギタープレイで魅了した2000年代までを年代順に追っていくことで、現状維持を嫌うジェフ・ベックの革新性に触れることができるはずだ。
3月リリース作品
前作『葡萄』から10年ぶり、総制作期間21カ月を費やした通算16作目のオリジナルアルバムは、改めて日本にはサザンが必要だと思わせてくれる傑作となった。“盆ギリ恋歌”“ジャンヌ・ダルクによろしく”といったシングル曲のほか、デビュー以前に作られていた“悲しみはブギの彼方に”などを収録。アルバムのリリース前からスタートした全国ツアーの千秋楽をパッケージした映像作品もリリースされた。
1980~1990年代に発表した作品から“ガラスのジェネレーション”“ヤングブラッズ”などを再録。曲によっては歌詞の一部やタイトルも変えていたりと、自らの楽曲を再定義するその姿勢に聴く側の背筋も伸びるはず。20年の付き合いとなる佐野とTHE COYOTE BANDとのエネルギッシュなセッションからは、充実感とともに適度な緊張感も漂ってくる。本作の続編『HAYABUSA JET II』も12月にリリース。佐野の眼差しは常に未来を向いている。
イアン・アンダーソンの優美なフルートとボーカルは今なお健在! 24作目のスタジオアルバムでは、そうしたイアンの特色が最大限活かされているのはもちろん、2024年に加入したジャック・クラークの貢献ぶりも見事だ。アコーディオンやマンドリンが加わったブルージーな“The Tipu House”など幅広いジャンルを飲み込みながら、あくまでジェスロ・タルとしてのサウンドを追求していく姿がなんとも勇ましい。
そのタイトルが象徴するようにライヒのほぼ全作品を網羅したコレクター垂涎の27枚組ボックスセット。音源だけでなく作品クレジットや年表、ノンサッチの元代表ロバート・ハーウィッツらのエッセイなどが掲載された付属のブックレットからも彼の偉大さを実感することができる。ハーウィッツのほか、ブライアン・イーノやジョニー・グリーンウッドといった表現者たちとライヒとの対談をまとめた「スティーヴ・ライヒ対談集」も今年刊行された。身体の全細胞を使ってライヒの全てを受け止めよう。
大滝が主宰したナイアガラ・レコード設立50周年という節目の年に記念アイテムが続々とリリース。1985年発表のベストアルバム『B-EACH TIME L-ONG』の40周年記念盤は、DISC 2に当時プロモ用に作られた非売品のカセット音源を完全収録。ストリングス/オーケストラによるインスト作品を集めた『Complete NIAGARA SONG BOOK』にも未発表音源がふんだんに盛り込まれていて、大滝の死から12年が経った現在もこうしてそのクリエイティビティに圧倒されるとは……。
タワー・オブ・パワーのデヴィッド・ガリバルディ、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのグレッグ・エリコなどが参加したソロ1stアルバムの50周年盤。本人監修による最新リマスター音源に加え、Blu-rayオーディオには2008年に制作された“砂の女”“銀河ラプソディー”などの未編集バージョンが収められている。秋には同作をフィーチャーした記念ライブを東阪のビルボードライブで開催。2026年は2nd『LAGOON』が50周年を迎えるので、こちらにも再び光を当ててほしいところだ。
4月リリース作品
1970年のデビューから55年、東芝EMIとFUN HOUSEからリリースされたシングルを網羅したCDボックス。“言葉にできない”“さよなら”“君住む街へ”など現在も小田和正がソロで歌っている名曲の数々は言わずもがな、鈴木康博が手がけた“昨日への手紙”“恋を抱きしめよう”などのカップリング曲も秀逸な曲ばかり。大滝詠一や山下達郎とは別のルートで日本のポップスシーンを牽引したオフコースの存在の大きさを知ることができる作品である。
コンサート活動からは引退したものの、自らのディスコグラフィは更新し続けるエルトン・ジョン。もはや盟友とも言えるブランディ・カーライルとのコラボ作には、グルーヴィーなロックンロールナンバーからカントリーやフォークまで多彩な楽曲が並ぶ。ブランディが隣にいる影響もあるのか、まったく衰えを感じないエルトンのパワフルな歌声も本作を特別なものにしている。エルトン関連では名作『Captain Fantastic And The Brown Dirt Cowboy』の50周年盤も今年10月にリリースされた。
『GUITARHYTHM』シリーズ第8弾はオープナーの“Jump”から80sニューウェーブのムードが漂い、プライマル・スクリーム“Rocks”にも似たシンプルなシーケンスとギターリフに誰もが歓喜するはず。19年ぶりのコラボとなったCharとの“Side by Side”では2人のファンキーなプレイを堪能でき、石野卓球との“Move Your Body”ではアンディ・ギルばりにタメの効いた布袋の演奏に驚嘆してしまった。
角松が提唱する〈Contemporary Urban Music(現代の都会的な音楽)〉シリーズ第3弾。そのシネマティックなサウンドプロダクションは中毒性抜群で、前作のリリースから約4カ月というスピード感でも新鮮な耳で聴ける。ついついシティポップというワードで語りたくなるが、同シリーズはシティポップのカウンター的な音楽性を追求しているそうで、そうしたこだわりが角松の創作意欲を掻き立てているのかもしれない。
細野晴臣、小原礼、林立夫、矢野顕子、大貫妙子、松たか子など豪華ゲストが参加した本作は、まるでピーターと佐橋とともに日本観光をしているような気分にさせてくれる。“Coltrane’s Blue World”でふいに顔を覗かせる細野のベースプレイなど聴き込み甲斐のある楽曲ばかりで、佐橋も自らが手がけた“Nobody Can Save You”で歌声を披露している。
山下達郎のデビュー50周年にあわせて発売されたシュガー・ベイブ『SONGS』の50周年記念盤。アルバム本編に加え、1994年に行った〈TATSURO YAMASHITA Sings SUGAR BABE Live〉のライブ音源も同梱されており、大貫妙子がボーカルで参加した“蜃気楼の街”“すてきなメロディー”など山下にしては珍しく祝祭感を前面に打ち出したステージであったところもポイントだ。なお“DOWN TOWN”の7インチアナログ盤も同時リリースされている。
年齢はあくまで数字だと言わんばかりに世界中を飛び回っている74歳のスティングが、ポリス以来となるトリオ編成でバンドを結成! 本作はそんな3人の熱きパフォーマンスを音源化したライブ盤で、“Every Breath You Take”“Englishman In New York”などポリス、ソロの代表的なアンセムが取り上げられている。デラックス盤にはスティングのソロとしては初めてライブ音源化されたポリス“Can’t Stand Losing You”も収録。今年9月のジャパンツアーも成功させ、次はこの編成での新作も聴きたい!
1979年に行った海外公演の模様を収めた限定ボックスセット。8月に単体でCDリリースされたDISC 1は、かの有名なグリーク・シアターでの海外初ライブの音源で、3人の正確無比でソリッドな序盤の演奏が徐々にアドリブも絡めてやわらかいものになっていく過程を堪能できる。付属のブックレットには細野晴臣の最新インタビューも収録されていて、資料性も高いアイテムだ。
5月リリース作品
BLANKEY JET CITYの解散から今年で20年。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTとともにTVで特集が組まれたり、ポップアップストアが展開されたりと話題の多い年だった。そんなブランキー熱が上昇するなかでリリースされたベンジーのソロベストも非常にホットで、なんといっても“2人の旅”のセルフカバーが目を引く。ドラマティックでハードボイルドな原曲とは違い、こちらはギターの弾き語りをメインとした楽曲本来の世界観を強調した仕上がりになっている。初回盤には2024年に行った全国ツアーの最終公演を完全収録したDVDも付属。
前作から15年ぶりの新作は、クラウトロックやボサノヴァ、シンセポップなどの要素が盛り込まれた〈これぞステレオラブ〉な作品に。曲によって見せる表情は様々だが、“Melodie Is A Wound”あたりからは『Dots And Loops』にも近い香りがしなくもない。とはいえ、ノスタルジーに浸ることなく、あくまで自分たちにとっての現在進行形のサウンドを構築することに尽力した力作だ。
IVE“ATTITUDE”に“Tom’s Diner”がサンプリングされたのも記憶に新しいが、そうした状況を横目に見ながら彼女自身はマイペースに歩みを続けている。デビューから40年のタイミングで放つ10作目は、闘争をテーマに様々な物語が紡がれていく。“Chambermaid”はボブ・ディラン“I Want You”のメロディーと歌詞の一部を引用していて、歌い始めの〈I’m the great man’s chambermaid〉のとおりヴェガのディラン愛が爆発している。
トリビュートアルバムが大きな注目を集めたART-SCHOOL。5月にリリースしたミニアルバムには1980年代のオルタナやニューウェーブの景色が見えてきそうなナンバーが揃っていて、前作にも増して木下理樹の歌声とリリックの鋭さが増しているように感じた。バンド結成当初に制作され、当時はカセットでしか音源化されていなかった“Outsider”が新録という形で収められている。
自身の愛称〈MIMI〉を冠した2005年リリースの10thアルバムが20周年を迎え、レアトラックなどを追加してリイシュー。“We Belong Together”などR&Bにどっぷり浸かった彼女がそのキャリアを大きく更新した作品だ。本作の勢いが今年9月にリリースされた最新アルバムや、10~11月に開催された来日公演での熱狂へと繋がっていった。
6月リリース作品
デビュー45周年を記念したベスト盤だが、“青い珊瑚礁”“Rock’n Rouge”など本作のために新緑された楽曲も多いため、単なるコレクション作品ではないことは記しておきたい。槇原敬之が書き下ろした新曲“Shapes Of Happiness”は晴れやかなポップチューンで、改めて彼女が〈永遠のアイドル〉であることを証明している。財津和夫、大瀧詠一、細野晴臣、呉田軽穂(松任谷由実)が松田に提供した楽曲をそれぞれコンパイルした4枚の企画アルバムも要チェックだ。
還暦を迎える年に奥田民生と吉川晃司が新ユニット結成! 広島弁の〈おちこち〉(あちらこちら、遠いところと近いところ、という意味)を掲げたユニット名をそのままタイトルにしたデビュー作は、広島愛に溢れたロックアルバムに。“GOLD”“片恋ハニー”からはディスコの風味もしつつ、“Three Arrows”“OK”ではそれぞれサンフレッチェ広島、広島カープをバックアップするスタジアムアンセムを披露。武道館公演を経て、大晦日には全国ツアーのファイナルを広島で締めくくる予定だ。
結成から半世紀以上が経ち、現在は甲斐よしひろ、松藤英男、田中一郎の3人体制で活動する甲斐バンドの約16年ぶりとなるオリジナルアルバム。本作の肝は表題曲の“ノワール・ミッドナイト”とラストの“RINGS”あたりだろうか。前者はアダルトな香りがするミディアムスローで、後者は2004年に亡くなった大森信和のラストセッションの音源を使用したインスト曲。聴き終えた後には、まるで1本の濃厚な映画を観たかのような充実感を得られるはずだ。
過去に置いてきた未発表音源を次々に成仏させていたかと思えば、しっかり新作も作っていたニール・ヤング。スプーナー・オールダム、プロミス・オブ・ザ・リアルのメンバーらからなる新たなバンドを率いた本作は、カントリーにロックにブルースにと用いる作法はいつも通りではあるものの、現在のアメリカの現状を受けて書いたであろう痛烈なリリックも随所に登場する。11月には名盤『Tonight’s The Night』の50周年盤もリリースされた。
年始におよそ27年ぶりの来日を果たし、眠っていた日本のファンを目覚めさせたレジェンドから24年ぶりの新作が到着。プロデューサーのジェイムズ・フォードの手腕かジャーヴィス・コッカーの歌声も変に若作りさせず、60代の渋みを最大限活かしたアプローチが取られている。2023年にスティーヴ・マッキーがこの世を去ったことも本作を完成させる動機になっているそうで、そうした絆を感じさせる作品でもある。秋に発売された『Different Class』の30周年盤とともに改めて聴き込みたい。
高橋幸宏がキュレーターを務めた都市型フェスより、彼が演奏に参加したパフォーマンスの音源&映像をまとめたボックスセット。フェス自体の歴史を辿る側面もありつつ、YMO、THE BEATNIKS、METAFIVE、pupaなど高橋が各バンド/ユニットでどんなポジションを担い、どのようなアプローチで演奏しているかを聴き比べる/見比べることができるアイテムだ。
7月リリース作品
2002年の『MY PRECIOUS -Shizuka sings of Miyuki-』以来となる、中島みゆきの楽曲を集めたカバーアルバム第3弾。スキマスイッチの常田真太郎がアレンジした“横恋慕”は跳ねるリズムが特徴的で、どこか槇原敬之にも近いポップさを纏っている。アルバムの最後に置かれた中島書き下ろしの新曲“海燕”で工藤との相性の良さを再確認できる。
約1年間限定で5人での再始動をアナウンスして以降、新曲のリリースやフェスへの出演、全国ツアーの開催と怒涛の勢いで活動しているRIP SLYME。CD 3枚組のベスト盤には再始動後に発表した“どON”“Wacha Wacha”のほか、TikTokで再び注目された“熱帯夜”、2000年代はじめのムードを思い出させる“楽園ベイベー”など全48曲が収められている。活動期限は残り3カ月ほど。彼らがどんなゴールを迎えるのか最後まで見届けたい。
2000年リリースのベスト盤が1980~1990年代のヒット曲を網羅した内容だったのに対し、本作は昨今のシティポップブームの影響も加味した選曲が成されている。“悲しみがとまらない”のB面曲で角松敏生が提供した“Remember Summer Days”、三浦徳子が作詞、井上大輔が作曲・編曲を務めた“気ままにREFLECTION”などムードたっぷりなナンバーを心ゆくまで堪能できる。

今年3月に米ロサンゼルスのウィルターン・シアターで行ったライブの模様を捉えた映像作品。“トーキョーレギー”“OH! TENGO SUERTE”など『SEYCHELLES』からの楽曲のほか、サディスティック・ミカ・バンド“黒船(嘉永6年6月4日)”、そして“BLUE LAGOON”とベストオブベストな構成のライブをアメリカのオーディエンスの反応とともに味わえる。高中とJフュージョンの海外人気を目撃できる意味でも貴重な作品だ。
昨年末の『屋根裏 YaneUra Sept. ’80』に続く再発/発掘プロジェクトの最新作は、1976年の京都・拾得でのライブをピックアップ。冒頭の“夢は今日も”からヒリヒリとした緊張感が漂い、水谷孝、中村武志、楢崎裕史、三巻敏朗という当時のメンツでの鬼気迫る演奏に一気に引き込まれる。音源はマランツ製のラジカセの内蔵マイクで録られたもので、決してクリアな音質ではないが4人の演奏のダイナミズムは十分感じられる。
8月リリース作品
復活を果たしたバブルガム・ブラザーズがデビュー40周年記念アルバムと最新リマスターによるデビュー盤を同時リリース! 佐野元春を招いた“SOUL SPIRIT PART III”も収録した40周年記念アルバムは〈Bro.KORN SIDE〉〈Bro.TOM SIDE〉に分かれており、それぞれの思いが詰まった選曲を楽しむことができる。1stアルバムの再発盤は伊藤銀次、NOBODYらが手がけたソウルスピリットに溢れたナンバーに酔いしれること間違いなし!
“Zombie”も収録したバンド最大のヒット作のリリースから30年を迎えたタイミングで、未発表トラックなどを追加した記念盤がリリース。最新リマスター音源によるアルバム本編はリバーブがかけられた音像の奥行きが鮮明になり、ドロレスの歌声とバンドのアンサンブルがより1つにまとまった感がある。本作で初解禁された“Zombie”のデモ版はリズムのズレなどが生々しく、バンドの素顔を覗き見した気分に。チャーチズのイアン・クックが手がけた数曲のリミックスは80sシンセポップな仕上がりで、「ストレンジャー・シングス」の劇伴としても使用できそう。
5月に84歳で死去したロジャー・ニコルス。その訃報とともにリリースがアナウンスされた本作は、ロジャーが他アーティストへ提供した曲やカバー曲をリリース順に収録した日本独自企画アルバムだ。“We’ve Only Just Begun”“Out In The Country”と曲名を眺めただけでもメロディーが脳内再生されるほど不朽の名曲群が並んでいる。ロジャー自身が生前に直接携わっていた作品であるため、このパッケージ自体が彼からの最後のプレゼントのようだ。ありがとう、ロジャー。
ジョン・フォガティがクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(CCR)の楽曲における音楽出版権を取り戻したことで実現した再録アルバム。全曲ほぼ原曲に忠実なアレンジだが、現在ジョンが80歳であることを考えると当時と同じキーで歌えていることに感服してしまう。日本人にも馴染み深い“Have You Ever Seen The Rain”、傑作『Cosmo’s Factory』のラストを飾る“Long As I Can See The Light”とバンドの代表曲をジョンが心ゆくまで歌い上げる姿は爽快だ。
9月リリース作品
ソロデビューから50年を迎えてもフルスロットルで走り続ける矢沢永吉。35枚目となるオリジナルアルバムには初タッグの作詞陣として森雪之丞、H.U.B.、寺岡呼人を迎えつつも、矢沢の紡ぎ出す豊潤なメロディー自体は不変。ソロ1st『I LOVE YOU, OK』も発売から50周年を迎えたほか、3年ぶりに「NHK紅白歌合戦」への出場も決まり、2025年は充実の1年だったと言えるだろう。
バンド結成40周年を記念してオリジナルアルバム7作がカセットテープ(+Tシャツ)でリイシュー。彼らの音源は現時点でサブスク解禁されていないだけに、何かしらフィジカルで保有している人も多いはずだが、改めてカセットで聴いてみてはどうだろうか。関連トピックとしては、甲本ヒロトと真島昌利はザ・クロマニヨンズで今年もニューアルバムをリリースしたほか、“リンダ リンダ”などTHE BLUE HEARTSの曲がフィーチャーされた映画「リンダ リンダ リンダ」が今年公開20周年を迎え、4Kデジタルリマスター版が劇場公開され話題となった。
J-POP史を語る上では欠かせないスピッツの6thアルバムも今年リリース30周年! “涙がキラリ☆”“ロビンソン”の強力なシングルに加え、軽快なパーカッションに胸がときめく“ルナルナ”、マイナー調で昭和のムードが漂う“あじさい通り”など楽曲もバラエティに富んでいる。ボーナストラックとして近年のライブ音源4曲が収められているほか、期間限定盤CDに付属するBlu-rayにはアルバム発売当時のツアー映像なども収録している。
デビュー40周年をファンとともに祝うべく企画された最新ベスト。ファン投票によって決まった20曲、これまで米米CLUBに携わったスタッフが選曲した20曲の計40曲を収録。“浪漫飛行”“君がいるだけで”といったミリオンヒットから、“かっちょいい”“Kung-Fu Lady”などの通好みなアルバム曲まで、ファンクとポップ、王道と邪道を自由に行き来できるバンドとしてまさに唯一無二の存在だ。

グロテスクなマスクとジャンプスーツを纏った9人組――今ではそれがスリップノットだと認知できるが、デビュー当時の反応はどうだったのだろうか。そんな衝撃的なビジュアルでアメリカのロック/メタルシーンに登場した彼らの1stアルバムが25周年記念エディションとして再発。未発表のデモ音源や別ミックスなどが追加され、凶悪なサウンドを新たな角度から聴きこむことができる。亡きポール・グレイの地を這うようなベースプレイに悶絶!
10月リリース作品
レイ・チャールズと親交を持ち、アポロ・シアターのステージにも立った和田アキ子。本作は、SNS上でバズを起こした“YONA YONA DANCE”など近年リリースした楽曲も押さえた、これまで以上に間口の広いベスト盤に。Tani Yuuki、10-FEET、所ジョージがそれぞれ提供した新曲で令和や平成を感じ、“古い日記”や“あの鐘を鳴らすのはあなた”などの往年の名曲で昭和に浸る。そんな時代の移り変わりも感じられる1枚だ。

2025年はオアシス一色の1年だった。ここで取り上げる2ndの30周年盤のほか、ベスト盤『Time Flies... 1994-2009』の再発、ポップアップストアの展開、そして16年ぶりの来日公演と、そのすべてが解散前をはるかに凌ぐ熱狂を生んだ。本作には“Champagne Supernova”など5曲のアンプラグド音源が追加され、特に“Cast No Shadow”でのリアムとノエルによる伸びのあるハーモ二―が最高です。
ジェネシス史上最も壮大で、最もコンセプチュアルな作品こそ『眩惑のブロードウェイ』の邦題で親しまれている本作だ。ピーター・ガブリエルが指揮を執ったロックオペラの50周年エディションということで、1975年のLA公演のライブ音源、ガブリエルとトニー・バンクスが監修したドルビーアトモス音源など、名盤の解像度を上げるための+αが盛り沢山。“Back n N.Y.C.”“Anyway”あたりはプログレの濃度が濃く、5人の情熱的なセッションを味わえる。
2024年の日本盤シングル集以降、『Born In The U.S.A.』の再発、未発表音源を中心としたボックスセット『Tracks II』とリリースラッシュが続くなか、映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」でも取り上げられた『Nebraska』の拡張版も登場。アウトテイクの数々は『Nebraska』と次作『Born In The U.S.A.』を繋ぎ、当時のボスの繊細な心情を映し出している。『明日なき暴走』の50周年盤もこの年末に発表されたばかり。
『明日に架ける橋』がオリジナルのリリースから55年の節目に日本独自企画としてSACDハイブリッド化。2人の非凡なシンガーソングライターが生み出した傑作は、邦題に〈明日〉とあるせいか希望に溢れた作品と受け取られがちだが、実際は都会での孤独や普遍的な愛や友情など、日常や生活に根差した歌がメインとなっている。個人的には建築家フランク・ロイド・ライトを取り上げ、2人の関係性が終わりに向かっていることを予感させる“So Long, Frank Lloyd Wright”がお気に入り。
ジョン・ケイルがプロデュースしたデビュー作が未発表のアウトテイクやレア曲などを追加してリイシュー。ロックに文学性を持ち込み、結果的にそれがNYパンクのムーブメントとも結びついていくという点でも重要な1枚だ。マーヴェレッツ“The Hunter Gets Captured By The Game”のカバーや、RCAのオーディションを受けた際のカセットテープに収録されていた“Gloria”など、追加収録された音源だけでもお釣りがくる記念盤です。
今も名作を量産しているサニーデイ・サービスの1stアルバムのデラックス盤が、発売30周年のタイミングでリリース。はっぴいえんどとセックス・ピストルズのライブカバー音源などのボーナストラックも魅力的だが、やはりリマスターされたことでサウンドの厚みが増したアルバム本編が素晴らしい。誰しもが手に入れて、そして失っていく〈若さ〉がこのアルバムにはパッケージされている。
複雑な事情を抱えていた3rdアルバムが、バンドのデビュー55周年の年にデラックスエディションとして再発。忌野清志郎、林小和生、破廉ケンチの3人体制での最後のアルバムで、バンドがエレキ楽器を本格導入し始めた作品でもある。オリジナルマスターテープからの最新リマスター音源が使用されているほか、tvk「ヤング・インパルス」でのスタジオライブ音源なども収録。“スローバラード”や“夜の散歩をしないかね”など、孤独な夜に寄り添ってくれる言葉とメロディーは今も胸に沁みる。
11月リリース作品
荒井由実時代から現在までのボーカルトラックを当時のマルチテープから抽出し、音声合成ソフトに学習させて〈第三の松任谷由実〉の声を作り上げ、そのボーカルデータを用いて制作されたという40thアルバム。作詞と作曲はユーミン自身が行っているため、AIに対してネガティブな先入観を持ったまま聴き始めると、その人肌を感じる楽曲に少々驚くかもしれない。〈AIと人間の共生〉という現代のテーマに向き合いながら、自らの表現方法を更新していくユーミンの制作意欲には脱帽。
〈Follow Your Own Passion〉(お前自身の情熱に従え)をタイトルに掲げた23rdアルバム。NHK朝ドラ「おむすび」の主題歌“イルミネーション”など6つのタイアップ曲のほか、ブルージーなハードロックチューン“濁流BOY”、〈鳴らしてみればいい/僕らだけが紡げる調べ〉と自分たちに語りかけるような“その先へ”といった新曲4曲も収録。昨年の「NHK紅白歌合戦」のパフォーマンス映像も初回盤に収められていて、胡坐をかくことなく、ひたすら突き進む2人の勇姿が刻まれている。
1995~1996年にかけて発売された〈アンソロジー〉シリーズの幻の4作目がついにリリース! “In My Life”や“Hey Bulldog”などはこれが初出となるテイクで、4人のスタジオワークの新たな過程が明かされた。ジョン・レノンの死後にリリースされた“Free As A Bird”“Real Love”もジェフ・リンによってミックスし直されているほか、ラストにはビートルズ最後の新曲“Now And Then”が待ち構えている。本作と1~3作目の〈アンソロジー〉もコンパイルした『Anthology Collection』で一気に同シリーズの歴史を味わうのもいいだろう。
ミック・テイラーが抜け、ロニー・ウッドが加入して最初のスタジオアルバムの拡張版。スティーヴン・ウィルソンによる最新ミックスによって立体感が増した本編や、シャーリー&カンパニー“Shame, Shame, Shame”のカバーなどの未発表トラック、そして1976年のアールズ・コート公演のライブ音源も収録。バンドの原点でもあるブラックミュージックに立ち返った味わい深い作品なだけに、配信ではなくCDやレコードで聴きたい。

色々あって日本とは縁遠くなってしまったと思われていたが、今年9月に12年ぶりとなる来日ツアーを開催してくれたスマパン。その来日公演でもフィーチャーされていた彼らの3rdアルバムは、発売から30年を迎えてさらにその輝きを強めている。30周年盤となる本作には1996年の〈Infinite Sadness Tour〉からのライブ音源をたっぷり収録。1990年代のUSオルタナロックの再評価が進むなか、絶好のタイミングでのリイシューとなった。
12月リリース作品

中島みゆきのデビュー50周年を記念してMV集「THE FILM of Nakajima Miyuki II」と、2002年発売のベストアルバム『Singles 2000』のリマスター盤が同時リリース。MV集には2007~2023年までのシングル7作のMVと、映画の予告編やドラマのタイトルバックなどの特典映像を収録。一方『Singles 2000』はスティーブン・マーカッセンが新たにリマスタリングを施した音源が高音質CD(Blu-spec CD2)に収められている。なお、タワレコ新宿店では上記2作の発売を記念した特別展開やイベントの開催が決定している。
今年はじめには茂木欣一が企画と監修を務め、バンド結成時の初ライブの音源などを収めたBOXセットも話題となった。こちらは“ひこうき”から“MY LIFE”までのシングル8枚をそれぞれ7インチレコードにまとめたもので、本作の監修も茂木が担当している。海外からの評価もあり『LONG SEASON』など彼らの作品のアナログ需要は年々高まっているだけに、そうした比較的新規のリスナーにも重宝されそうなアイテムだ。
日本では『炎~あなたがここにいてほしい』の邦題で浸透している名盤の50周年記念盤だが、今回も尻込みするほどの大ボリューム。制作の音頭を取ったロジャー・ウォーターズの色が強調された作品ではあるが、まだデヴィッド・ギルモアとのパワーバランスも気にするほどでもなかった時期で、2人のブレインがしっかりと手を取り合ったゆえの名盤でもあると思う。本作で50年分の歴史を今一度紐解きたい。

プリンスの膨大なカタログの中でも特に人気の高い作品の1つと言っていいだろう。『Purple Rain』のリリース後というタイムラインを考えても、キャリアハイを迎えていたであろう時期に発表された『Around The World In A Day』が今年で40周年。最新リマスターでこれまで以上にクリアな音像となったことで、彼とレヴォリューションが築いたサイケな音楽世界をよりハッキリと認識できるようになった。

8月から10月にかけて東京・銀座のGinza Sony Parkで開催された、TM NETWORKにとってキャリア初の大型エキシビションの展示内容を多面的に再構成したボックスアイテム。Blu-rayにはドキュメンタリーや展示で上映された映像などが収録されているほか、CDにはエキシビションのために新たにアレンジされた“We Can’t Stop That Way -2025 IP ver.-”が収められている。2025年のTM NETWORKは五感をフル活用して体感すべし。
K DUB SHINE、Zeebra、DJ OASISからなるキングギドラのデビューアルバムにして、〈オンビートで韻を踏む〉という日本語ラップの基礎の基礎を広く浸透させた名盤が30周年を迎えた。新たな記念盤となる本作は、20周年のタイミングで故トム・コインがリマスタリングした音源を用いてアナログレコードで再発したもの(カセットも同時リリース)。当時はラップシーンだけでなく音楽シーンそのものに向けたカウンター的な作品でもあっただけに、30年後の今でもその衝撃が伝播していることを本作で確かめてみてほしい。































































