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諦めずに乗りきろう

 “Smile”だけ聴くと、いつものケイティが戻ってきたと感じるだろう。この曲のプロデュースは“Teenage Dream”や“California Gur­ls”など、デビュー時からヒット曲を共に生み出してきたジョシュ・アブラハム。脚韻した歌詞は弾むように歌いやすいし、2ヴァージョンのMVを発表し、どちらも子どもから大人までの従来のファンの期待を裏切らない、楽しい内容になっている。まさにアルバム・タイトルになるのも当然と言えるポップ・チューンだ。

 アルバムは、“365”で共演したゼッドが担当した“Never Really Over”で幕を開ける。当然ながら離別と復縁を繰り返したオーランドとのことを想起させる内容だ。“Cry About It Later”では、ハッピーではないけれど少しずつ気持ちを上げていこうという気持ちを歌う。ここでは、前作で“Bon Appétit”をプロデュースしていたオスカー・ホルターの重厚になりすぎない音使いが特徴的だ。続く“Teary Eyes”は、エリー・ゴールディングらのヒットメイカーであるスウェーデン出身のプロデューサーOZGOとLA出身のFRNDによる緩急を効かせたダンス・ナンバーで、透明感溢れるサウンドがケイティの憂いを含んだ美声を引き出している。“Daisies”はマイアミ出身の6人組プロデューサー・チーム、モンスターズ&ストレンジャーズによる楽曲で、これまでのケイティの歌の良さを集めたように、どのフレーズにも彼女の魅力が詰まっている。ゼッドの“Beautiful Now”にヴォーカルで参加して一躍脚光を浴びたシンガー・ソングライター、ジョン・ベリオンも曲作りに参加。この歌もケイティの新たな代表曲の一つになるのは間違いない。

 「この曲は花について歌っているような甘く楽しい歌ではないの。〈デイジーに埋もれるまで〉という言い回しには〈埋葬されるまで〉という意味があって、別の言い方をすれば〈息絶えるまで〉ということ。私は最後の一息まで自分を偽らずにいよう、自分の夢や目的に忠実であり続けよう、という思いを込め、どんな障害があろうと諦めず乗り切ろう、と歌っている。また、誰かが自分のSNSに何かを書いてきても、気にするのはよそう、という歌でもあるわ。みんなが新しい夢を描く時にぴったりなサウンドトラックだと思う」。