KIRINJIが堀込高樹のソロプロジェクトとなって3作目となるアルバム『TOWN BEAT』。そのタイトルからもなんとなく察することができるかも知れないが、これがまた様子のよい出来映えだ。大胆さやユーモアも交えつつ丁寧に編まれていくソングライティングの作法は相変わらずだが、ぱっと聴き進めていっただけで、いつもにも増して気分が乗っているとでも言うか、躍動みをまずは感じずにいられない。直近のアルバム2作がいずれもコロナ禍に翻弄された部分が少なからずあったからなのだろうか、今作は素直に言って上向き。なんだかんだで世の中のムードを敏感に含ませ、焼き上げてきたKIRINJIという名の器は、さらに強度と深みを増したようである。
結果的にリズムが立った曲が残った
──アルバム、非常に〈躍ってる〉感じがして、すごくよかったなと思います。いきなりですけど。
「今回は、わりとノリのいい曲が集まっちゃった感じなんですけど、はじめからそういうふうにやろうってわけでもなかったんです。“歌とギター”だけ先行で出来上がっていて、その後いろいろ作っていて、ゆっくりの曲もあったんだけど、それがそこまでの出来ではなかったんです。これを頑張って完成させるのはちょっとテンション上がんないなと思って走っていった結果、リズムが立った曲が残った。
それから、“LEMONADE”と“素敵な夜”※をセルフカバーしようってなった時点で、これらが元気がよい曲なんで、なおさらそういう傾向が強まった感じですね」
──“LEMONADE”は、ライブで幾度か披露されていましたけど、それというのも提供曲ながら気に入っていた、出来に満足していた曲、ということになりますか。
「自分ではなかなか書かないタイプの曲ができたなと思っていて。ライブでは、それこそ25周年のアニバーサリーライブ(2024年5月25日、LINE CUBE SHIBUYA)でもやってましたけど、今回はそのときのまんまじゃなくて、ドラムンベースやジャズっぽい要素とか入れて、もうちょっとイマドキっぽい、カッコいい感じにならないかなと思って、コードも少し変えたり、リズムアレンジを変えたりして、小田(朋美)さんに歌っていただいて。
“LEMONADE”は、提供した直後に〈レコーディングしたいな〉みたいな話をしたことがあったんですけど、スタッフが渋ったんですよ、早すぎない?って(笑)」
──それは早すぎですね(笑)。でも、あの頃だとバンド編成のKIRINJIでしたから、今回のようなアレンジにはならなかったでしょうね。して然るべき8年越しの音源化ということですね、これは。で、アルバムは2年4か月ぶりになりますが、まぁ、いつものペースと言えばいつものペースです。
「そうですね、だいたい1年半から2年に1枚ってペースだから、2年4か月は若干空いたなって感じではあるんですけど、25周年があって、そのアニバーサリーライブをブルーレイ化するための作業に結構時間を割いていたり、やることはいっぱいあって」
