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希望の火

 その“Daisies”をリード・シングルに選んだ理由についてはこう説明する。

 「収録曲のうちの75%は、〈立ち直る力〉についてや、〈励まし〉〈希望〉〈喜び〉といったメッセージを込めたものなの。“Daisies”を最初のシングルに選んだのは、この曲がアルバム全体の方向性を完璧な形で打ち出していると思ったから。楽しくてノリのいい曲を選ぶのもアリだったかもしれないけれど、現在の世の中に必要なのはそういったものではないと思うから。私だって私生活でいろいろあって、毎日が素晴らしい日というわけではないわ。だからこのアルバムの曲と音楽を、どん底から這い上がってこられた自分のスナップ写真として残せたことに感謝しているし、そんな事態に立ち向かえるだけの強さが自分にはあるんだと思い出させてくれる作品になって、嬉しく思っているの」。

 5曲目の“Resilient”は、“Firework”で知られるスターゲイザーがプロデュースした曲だが、立ち直っていく彼女自身を象徴するかのように、スタッカートを活かしたトラックでゆっくりと軽やかにポジティヴへと向かわせていく。ケイティの情感たっぷりな歌のうまさを引き立てるトラックでもある。続く“Not The End Of The World”はサビから始まる力強いナンバー。FRNDらしいナンバーだ。

 そして、“Smile”からはまた曲調が変わる。“Champagne Problems”は、最近はデュア・リパ“New Rules”をプロデュースして注目され、いまや彼女に欠かせないスタッフとなったイアン・カークパトリックによるもの。2017年にオールランドと別れる前に直面した問題を題材にしているとのこと。デュア・リパはケイティの大ファンで、2年前から親しくなったというから、イアンはデュアの紹介かもしれない。“Tucked”は大病から復活したアヴリル・ラヴィーンの最新アルバムに参加していたことでも注目されたヨハン・カールソンによるナンバー。実は今回は彼とのコラボ曲が多く、“Harleys In Hawaii”は、先に発表された“Small Talk”と同じヨハンとチャーリー・プースによるプロデュース、セクシャリティーの解放について声を上げてきたケイティならではの歌“What Makes A Woman”も、ヨハンによる曲だ。執筆時点で詳細のわからない“Only Love”を含めたここまでの全12曲が本編となり、ボーナストラックには楽しみなオマケがついている。

 「いま私たちには、これまで以上に元気づけが必要な気がする。誰だって最高の人生を送りたい。特に、一夜にして人生が変わることもあり得るとわかったから、生きていることを当たり前と思ってはいけないし、夢も先延ばしにしてしまってはいけない。このアルバムが聴いている人の心に希望の火をつけてくれることを願っています」。

 苦難を経たこのアルバムがリリースされる頃には、ケイティは母親になっているはずだ。

ケイティ・ペリーの作品。

 

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