Is This The Real Life...?
メジャー・デビュー20周年を迎えた3人が、SF世界とパーソナルな感情の交錯する物語を描いたコンセプト作の続篇『ネビュラロマンス 後篇』を完成! 新たな次元へ進化していったその先には……
どんな過去とも異なるノスタルジックな未来
2024年にリリースされた『ネビュラロマンス 前篇』に続く、コンセプト・アルバム2部作の〈後篇〉。〈前篇〉のレトロ・フューチャーな世界観を引き継ぎ発展させた作品で、とりわけサウンドの面における80s趣味の極めっぷりが凄い。このアプローチは2022年の『PLASMA』あたりから推し進めてきたものではあるのだが、気がつけば相当に遠いところまで到達している感があり、近年のPerfumeをしっかりフォローしていなかった向きは相当に面食らうのではないだろうか。導入を経ての“再起動世界”“ネビュラロマンス”ではエレクトロ・フュージョン〜フューチャー・ファンクを展開し、哀愁のハイエナジー“ソーラ・ウィンド”やコズミック・ディスコ“Virtual Fantasy”へと進む。ヴェイパー・ウェイヴ的なタッチでアイドル歌謡のレプリカを生成したような“Teenage Dreams”も静かな驚きをもたらす逸品だ。こうした80年代リヴァイヴァルを濃縮還元したサウンドに、スペースオペラもサイバーパンクもタイムループも持ち込んだSF的なストーリーを接合することで、ノスタルジックなようでどんな過去とも異なる、ある種のメタバースへと聴き手を誘う。振り切れ方が痛快かつおもしろいし、シンプルに粒揃いの楽曲が並ぶポップ・アルバムとして見ても文句なしの作品だ。 *澤田大輔