Page 4 / 4 1ページ目から読む

参加作品から振り返る小山田壮平の歩み

andymori 『宇宙の果てはこの目の前に』 Youth(2013)

小山田のソングライターとしての才能を世に知らしめた3人組による最後のオリジナル作は、バンド初期から直近の膨大なデモのなかから厳選した14曲で構成。どこまでも真っ直ぐに突き進む、眩しいほどにピュアなロックンロールたちに胸がときめく。彼らは翌年の日本武道館公演をもって解散。

 

VARIOUS ARTISTS 『風街であひませう』 ビクター(2015)

松本隆の作詞活動45周年記念盤では、小山田壮平&イエロートレイン(初期andymoriのリズム隊+Predawnら) 名義で松田聖子“SWEET MEMORIES” をカヴァー。アコギとピアノによるアコースティックなサウンドと多重コーラス、アナログタッチの音響が相まって、まるでゴスペルのような清廉さを放っている。

 

谷口貴洋 『BABY』 Sparkling(2016)

小山田を中心として2014年に立ち上げられたレーベル、Sparkling Records。その第2弾として送り出された作品が大阪発のシンガー・ソングライターによる2作目だ。小山田との共作となった“君にスルーパス”ではヴォーカルも披露し、リズミカルなメロディー上でゴキゲンな掛け合いを聴かせてくれる。

 

盟友の長澤知之と立ち上げたプロジェクトにandymoriでも活動を共にした藤原寛、後藤大樹が加入して4人組バンドへ。長澤とのソングライティングによる化学反応は瑞々しさを保持しつつ、曲調の幅を呼び込んでいる。この2作目ではビートルライクな“ドリーマー”“ウォータースライダー”あたりもアクセントに。

 

『THE TRAVELING LIFE』にはレコーディング・エンジニアとして参加しているシンガー・ソングライターの、初の全編日本語詞による5曲入りEP。活動初期からライヴで演奏されてきた“キャンパスシューズ”がここで初音源化され、小山田はコーラスでクレジット。温もり溢れるハーモニーがじんわりと心に沁みる。

 

工藤祐次郎 『残暑見舞い』 おぞうにレコーズ(2020)

自身のツアーのゲストにも招いたシンガー・ソングライターの新作に、小山田は前作と同じくコーラスで参加。ギター一本のみを連れた素朴な歌い回しと、どこか飄々としたユーモラスな佇まいが印象的な弾き語りアルバムだが、そこに控えめな歌声を寄せ、シンプルさが美点の楽曲に程良い彩りを添えている。