ディキシー・チックスからチックスヘ。強い信念のもとに改名を行った彼女たちがリリースした14年ぶりのアルバムは、どのような変化を伝えているのか。プロデューサーのジャック・アントノフは、パンチが効いたポップ・サウンドを施しながら新鮮な表情とカジュアルな解放感を与えていくが、〈Black Lives Matter〉の運動に連帯を表明する緊張感に溢れた“March March”や切れ味鋭いシャープなビートに彩られた“Texas Man”など、3人の揺るぎない根幹を鮮明に浮かび上がらせるパワフルなナンバーは、どんな手を使おうが彼女たちを黙らせるのは無理だってことを明確に証明してみせる。緩急自在なハーモニーはいっそう豊かな表現力を増しているし、とにかく相変わらずカッコいいというほかない。