〈知る人ぞ知る名盤〉待望の再発!
サンタナの〈ラテンの血〉を担ったサウンドがここに!

 1969年の衝撃的なデビュー作から77年の『フェスティバル』『ムーンフラワー』までサンタナに在籍し、マイク・カラベロ、アルマンド・ペラサらとともに強靭なリズム・セクションの一角として大活躍! 98年にはロックの殿堂入りを果たしたニカラグア出身のパーカッション(主にティンバレス)奏者、〈チェピート〉。74年に発表した唯一のリーダー・アルバムが46年ぶりにリイシューされた。待望の世界初CD化である。

JOSE ’CHEPITO’ AREAS 『チェピート』 ソニー(2020)

 74年といえば、ニューヨークでサルサの人気が大爆発していたころだ。その中心的存在だったファニア・オール・スターズは、ヤンキー・スタジアムやプエルトリコ・サンフアンの巨大コロシアムで公演を行い、アフリカはザイール(当時)、キンシャサでの音楽フェスティバルにも出演、サルサという音楽を世界中に広めていたのである。

 ここでは、その東海岸のサルサ・ムーブメントに呼応するかのように、アフロ・キューバンのソン・モントゥーノやグァグァンコ、マンボなどをベースに、〈西海岸流サルサ〉ともいうべきサウンドを展開している。とはいえ、参加メンバーは、ニール・ショーン(g)、ダグ・ローチ(b)、リチャード・カーモード(key)、トム・コスター(key)といった初期サンタナ・メンバーをはじめ、サンフランシスコ人脈でスライ&ザ・ファミリー・ストーンのグレッグ・エリコ(ds)、さらに、ファミリーともいえる強力なミュージシャンたちが集結した総勢23人で、一筋縄ではいかない連中ばかりだ。チェピートの正確無比かつ強烈なプレイを中心に、サンタナ直系のラテン・ロック・ナンバーから、ギターをフィーチャーしたインストゥルメンタル・マンボ、タワー・オブ・パワーを思わせるポップなファンク・チューン、ギターとモーグ・シンセサイザーが絡みながら徐々に盛り上がっていくチャチャチャ、ニカラグア大地震(72年)の犠牲者を追悼するルンバ、さらに、サンタナで訪れた日本(おそらく日本でも直前に地震が起こっていた)へ捧げる1曲と、実にバラエティ豊かで彩り溢れる内容となっている。

 キューバ~プエルトリコを核としたニューヨーク・ラテンとは一味違い、アフロ・キューバンをベースにしながらも、ファンク、ロック、メキシコなどの色が絶妙に混じりあったそのサウンドは、まさにサンフランシスコらしいラテン音楽であり、そのミックス具合がめちゃくちゃカッコいい! チェピートならではの渾身の1枚だ。