インタビュー

田尻洋一『Yoichi Tajiri - The Live!』超絶技巧の国際派ピアニストがコロナ禍を機に挑んだ初アルバムを語る

田尻洋一『Yoichi Tajiri - The Live!』超絶技巧の国際派ピアニストがコロナ禍を機に挑んだ初アルバムを語る

超絶技巧に膨大なレパートリーを誇る国際派ピアニスト、初のアルバム!

 ピアニストの田尻洋一は関西を拠点に活動を展開し、ベートーヴェンやシューマンなど、作曲家ごとのツィクルス全曲リサイタルを次々に開催している。国際的にも高い注目を集めている彼が、この度初となるCDをリリースした。

 「もともとライブでお客様に演奏を届けることをポリシーに演奏活動を行ってきたので、レコーディングは考えたことがありませんでした。しかしコロナ禍となりライブが難しくなってきた中で、お客様に演奏を届けるためにも……と出すことを決めました」

田尻洋一 『Yoichi Tajiri - The Live!』 OTTAVA Records(2020)

 日々演奏と言うものは変わり、一回も同じ演奏はない、と熱く語る田尻。だからこそ今回のディスクもセッション録音ではなく過去のライブ録音にした。プログラムはベートーヴェンの交響曲作品の自編曲。編曲においても彼らしいポリシーがあった。

 「編曲も外形は事前に作りますが、基本的にはその時のピアノやホールの響きなどを考慮し、その場で様々に変化させています。一度も同じ演奏はありません。一番大切にしていることは、その曲の持っている〈魂〉を音にすること。例えば交響曲第7番は、曲の持つ、永遠に続く躍動感や何かを超越しているものを出すことを重視しています」

 そもそも編曲を始めたのはどのようなきっかけだったのだろうか。

 「様々な作曲家のツィクルス全曲シリーズを弾いてきたので、さらに新しいレパートリーを開拓していきたいと思い始めました。オーケストラ作品を弾くときには、オーケストラで聴くときの感動を超えるくらいのものをつくらなければ意味がない!と思いながら、編曲・演奏しています」

 田尻はそもそも信じられないほどのレパートリーを誇るが、もともとはそのようなピアニストではなかったという。師であり、やはりとてつもないレパートリーの広さを誇るイディル・ビレットとの出会いがきっかけであった。

 「レッスンに行くと、バッハであろうと、ストラヴィンスキーであろうと、どんな曲をもっていっても楽譜なしで進んでいきます。先生は本当に何でも弾けてしまうのです。バッハの“平均律”を全曲、何も見ないですぐに弾けてしまう人がいるのを目の当たりにし、〈人間にできないことではないんだ〉と、思い、自分も全曲演奏に取り組むようになりました」

 これまで徹底的に〈ライブ〉にこだわってきた田尻の想いがつまったデビュー・アルバム。超絶技巧はもちろん、ライブ録音だからこその研ぎ澄まされた集中力をぜひ味わってほしい。

 


LIVE INFORMATION

ベートーヴェンピアノソナタ全曲シリーズ②③
○②2020年10月27日(火)
○③2020年11月23日(月・祝)
【会場】芦屋クラシカ(兵庫)

ピアノリサイタル
◯2020年11月1日(日)【会場】 寝屋川アルカスホール(大阪)
◯2020年12月5日(土)【会場】 いたみホール(兵庫)
◯2020年12月20日(日)【会場】芦屋クラシカ(兵庫)

www.eonet.ne.jp/~y-tajiri/

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