ヴァンプス(The Vamps)『Cherry Blossom』桜が咲く日をめざして前向きに踊り続けるUK指折りのポップ・アクト

2020.10.27

Can We Dance Again
人気爆発を経て指折りのポップ・アクトに成長したUK発の4人組、ヴァンプスが5枚目のニュー・アルバムをリリース! 桜が咲く日をめざして彼らのサウンドは前向きに踊り続ける!

 もはや彼らのことをルックスだけの人気者だと見なしている人もそうはいないだろう。これまでに発表した4枚のアルバムがすべて全英TOP10入りし、楽曲の良さと5年連続でO2アリーナ公演を行うほどのライブ・パフォーマンスの魅力によって、完全に現行のUKシーンを代表するトップ・アクトとなったヴァンプス。デビュー・ヒット“Can We Dance”以来の快進撃についてはいまさら書くのも野暮だが、転機となったのは2017年の『Night & Day(Night Edition)』とその翌年の『Night & Day(Day Edition)』という連作だった。マトマやマーティン・ジェンセンとのコラボで新境地を開拓した前者はバンド初の全英No.1を獲得。後者でもダニー・アヴィラやMGKらとコラボして同時代の多様な才能と自然にリンクし、ポストEDM時代のメインストリーム感覚を掌中に収めるに至ったのだ。

 以降の彼らはシガーラとの“We Don't Care”などダンス系のコラボでも活躍する一方、2019年にはメンバー全員の共作を軸としたEP『Missing You』を発表。もともと2020年のアルバム発表を見据えていたようだが、パンデミックによってツアーなどの予定も白紙となったことが却って彼らを制作へと集中させ、改めて自分たちの表現に深く向き合う機会をもたらしたのは想像に難くない。そうして生まれたのが5枚目のアルバム『Cherry Blossom』だ。

 ロックダウン期間に作った最初の曲だという“Married In Vegas”と、去年末に出来上がっていた“Chemicals”という2曲の先行カットでは、いずれもゼッド&ケラーニ“Good Thing”やリタ・オラ“How To Be Lonely”を手掛けた新進気鋭のロストボーイをプロデューサーに起用。いずれも〈Night & Day〉のスタイルにダイナミックなビート感とメロディーの強さを加味したダンサブル・パワー・ポップとでも呼びたいキャッチーな快曲になっていたが、アルバムはそこを基軸として統一感のあるトーンでまとめられている。

 静謐な序曲を備えたアトモスフェリックな冒頭の“Glory Days”と、それに続く80s風カクテル・ディスコ“Better”は、『Missing You』でも組んだジョーダン・ライリー(ダコタ他)がプロデュース。一方で作品の核になるのはメンバーのブラッドとトリスタンが主導した軽快なベッドルーム・トラックで、スタイリッシュな“Would You”やどことなくジョージ・マイケルを連想させる“Bitter”、ドラマティックな“Protocol”など、繊細な質感とエモーショナルな歌唱のコントラストがアルバムを深く色付けている。ブラッドとロストボーイが共同で制作した“Part Of Me”と“Nothing But You”も格段にキャッチーな佳曲。穏やかなギターに導かれるラストの“Treading Water”も美しい余韻を残す。

 なお、〈桜〉を意味するアルバム表題は、昨年〈サマソニ〉出演で来日した際に日本の文化により深く接するなかで着想を得たタイトルだという。資料によると今作は〈第一に、自分たちが愛し、支持できるアルバム〉をコンセプトにしていたそうだが、そんな由来を知れば日本のファンにとってもより深く愛せる作品になるんじゃないだろうか。

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