〈まっすぐな歌声〉が武器の男性ヴォーカル・デュオ、all at once。音楽プロデューサー亀田誠治も「鳥肌が立った」とコメントするほど、デビュー前から彼らの実力はお墨付き。〈聴き惚れる〉という言葉がぴったりの5曲入りEPで、all at onceついにCDデビュー!
――デビューEPのリリース、おめでとうございます!
ITSUKI&NARITO「ありがとうございます!」
――all at onceのお2人が担当していたTOWER PLUS+の連載企画も好評でした。CDデビューが決まり連載は今号で最終回を迎えますが、まずは、連載を振り返っての感想をお聞かせください。
ITSUKI「僕はブラックミュージックやR&Bが好きなんですが、自分たちのルーツというか、好きな音楽を紹介する場所をいただけてすごく楽しかったです。楽しくて毎号原稿量がオーバーしてしまいすみません……(笑)」
NARITO「僕も楽しくて、普段プライベートで音楽を聴いているときも、〈次号はこの人の曲を紹介してみようかな〉って考えたりしていました」
ITSUKI「歌や声に注目して、それを文章で伝えることはなかなかない経験だったので、自分たちの楽曲に対しても勉強になった連載でしたね」
――連載ページにデザインっぽくあしらわれていた五線譜が、繋げていくとデビューEPのリード曲“JUST BELIEVE YOU”になるという細工も遊び心がありました。
ITSUKI「実は、五線譜のことは僕たちも途中まで知らなかったんです(笑)」
NARITO「スタジオで五線譜を元にITSUKIがピアノで弾いたら、〈“JUST BELIEVE YOU”だ!〉ってなって(笑)」
――そうだったんですね(笑)。そんな連載の仕掛けに使われていた“JUST BELIEVE YOU”を含む5曲入りデビューEPがついにリリースされます!
ITSUKI「率直に〈うれしい〉です。2020年4月27日にCDデビューする予定がコロナ禍で延期になり、頭が真っ白になって前が何も見えなくりました。でも、その状況下でもスタッフさんのおかげでお仕事をいただけて、自粛期間中も、さまざまなアーティストのライブ動画を見たりして音楽に向き合う時間もたくさんできました。僕たち自身が〈歌を歌うことに意義がある〉と実感できた日々を経て完成した『JUST BELIEVE YOU』は、僕ら2人の気持ちが入ったデビューEPになりました」
NARITO「本当に〈全身全霊〉という言葉がぴったりな作品になったんじゃないかなと思いますね。CDデビューが延期になり、all at onceとしてドン底を知った期間で、僕個人も壁にぶち当たったりもしました。でも、その間にたくさんのことを勉強させてもらえて、このような状況でもたくさんの人にall at onceの楽曲を知って聴いてもらえる機会をいただけて、恵まれた環境で僕たちが音楽活動をできていることも実感しました。デビューEP全5曲の中に色々な思いを込めさせていただいたので、たくさんの方に聴いていただけたらうれしいです!」
――NARITOさんがおっしゃっていた、〈all at onceの楽曲を知って聴いてもらえる機会をいただけた〉という曲の1つが、デビューEPのリード曲でもあり、読売テレビ・日本テレビ系全国ネット「名探偵コナン」のオープニング曲“JUST BELIEVE YOU”だと思いますが、これは、倉木麻衣さんの“Secret of my heart”をサンプリングした楽曲。そして作詞も倉木さん!
NARITO「デモの段階で歌詞を拝見して、クレジットを見たら作詞に倉木さんの名前があって……! ITSUKIと2人で目を見合わせて衝撃を受けました(笑)。緊張感が高まりましたし、まだまだ名前も知られていない僕たちですけど、この楽曲の魅力を最大限に引き出せるように、声質や歌い方を研究して色々なものを“JUST BELIEVE YOU”に込めました」
――コナンファンや倉木さんファンの皆さんからの評判も上々のようですね。
NARITO「それぞれのファンの方々に受け入れてもらえるのか、最初は2人とも不安でドキドキでした。でも、僕たちやスタッフさんのツイッター投稿にリプライを送ってくださったりして、聴いてくださった皆さんのSNS上のリアクションが心を温めてくれたというか、励みになりました」
ITSUKI「この曲は、〈大切な人とまた出会えると信じている〉という男女2人の心情を歌った楽曲で、曲の中でその心情がどんどん変化していくのですが、そこを声で表現することを意識して歌いました。2番サビのあとから倉木さんの声と僕たちの声が交じり合い、最後は倉木さんの素敵な透き通った歌声で締めていただいているところも魅力の1つです」
――倉木さんの歌声で終わって2曲目の“星合”が始まりますが、この一連の流れが絶妙でした。
ITSUKI「“JUST BELIEVE YOU”も“星合”もどちらも幻想的な雰囲気のある楽曲で、“星合”は織姫と彦星をイメージした部分もあって、その2人の関係性を意識して歌っています」
――歌詞に〈暮れ残る〉〈悠久の時〉〈揺蕩う〉など、詩的な歌詞が使われているところも幻想的な雰囲気が出ていますよね。お2人が〈歌っていて気持ちがいい〉部分はどこですか?
ITSUKI「僕は2番の一番最初ですね!」
NARITO「即答(笑)。確かにそこは僕も聴いていて気持ちがいいです(笑)」
ITSUKI「地声から裏声に変わったり入れ替わりがとても激しい歌い方をしているんですけど、あえてそのような歌い方をして楽曲のイメージに沿うようにしています。まだつたないヴォーカル技術ではありますが、気持ちを込めているので聴いてみてほしいです」
NARITO「僕は2番サビのあとの〈永遠という文字に 願いをただ1つ込める〉ですね。僕は基本的にハイトーンで高い声が特徴的なヴォーカリストでもあるんですけど、〈永遠という文字に〉というフレーズだけ、自分の声の深さを加えている部分があるんです。ハイトーンと言っても1つのハイトーンではなく、さまざまな声の種類があり、〈……という〉のところはすごく深い声を出しています。ハイトーンはどうしても細い音になってしまい、キンキン響くような音が多くなりがちなんですけど、その部分に深さというか男性らしさを加えることで力強さを表現しました」
――力強さもありながら、波の音で静かに曲が終わっていくのも素敵でした!
ITSUKI「やさしく終わっていくことで、何か希望というか、前を向ける形で終わっている感じになっていますよね」