Page 2 / 4 1ページ目から読む

――やさしく終わったと思ったら3曲目の“Take mo’Chance”で一気にファンクサウンドが始まって、楽曲の振り幅にびっくりしました(笑)。

ITSUKI「(笑)。“Take mo’Chance”はall at onceとして一番最初にレコーディングをして一番最初に世に出たオリジナル楽曲です」

NARITO「すごく思い入れのある曲で、レコーディングの時も〈この曲ライブで絶対盛り上がるよね!〉って言っていて、いつかライブで披露できる日を楽しみにしています」

ITSUKI「“Take mo’Chance”が持つ70年代90年代のディスコ・ファンクのサウンド感が好きで、僕の得意なジャンルですが、逆にNARITOは苦手な感じだったよね?」

NARITO「あまり触れてこなかったジャンルでもあったし、グルーヴというか楽曲のノリの取り方が難しかったですね。僕はJ-Popのバラードがすごく大好きで、ゆったりとした大きなノリで歌う曲が得意なんですけど、“Take mo’Chance”はテンポが早くて……。声質に関しても、それこそバラードの声質で歌ったら少し悲しい感じになってしまうので、“Take mo’Chance”に関しては、〈楽しさ・わくわく感・元気がもらえる〉ような歌声を模索しながらレコーディングに臨みました」

――ITSUKIさんからNARITOさんにアドバイスすることもありましたか?

ITSUKI「そうですね。たくさんアドバイス……言いましたね(笑)」

NARITO「ITSUKIが得意なグルーヴの楽曲でもあったので、僕にも教えてほしい!ってね(笑)」

ITSUKI「いやそれじゃない、その声は違うから!みたいな感じで(笑)。“Take mo’Chance”でのアドバイスもそうですが、デビューEPに収録されている5曲はコーラスも僕がやることが多かったので、コーラスを合わせる部分のタイミングとか1ミリもズレてほしくなくて、NARITOの歌声を自分の理想にどんどん近づけて……」

NARITO「ITSUKIはこだわりが強いんだよね(笑)」

ITSUKI「そうだね、細かい性格なのでこだわりがね(笑)」

――ITSUKIさんとNARITOさんは性格は正反対なんですか?

ITSUKI「正反対ですね(笑)。楽曲に取り組む段階の考え方も違います。NARITOは感情的に大まかに捉えていて、逆に僕は楽器の鳴っているサウンド感だったりとか、メロディーも、どうしてこのメロディーにしているのかなど細かいところからストーリーを作っていきます。僕は細かいところを突き詰める性格なので全体的な部分が見えていなかったりするんですが、そこをNARITOが補ってくれています」

NARITO「真逆な性格でありがたいですね(笑)」

――ちなみに、お2人は喧嘩とかはされるんですか?

ITSUKI「喧嘩は1回もしたことがないですね」

NARITO「喧嘩……しないですね~。プライヴェートでも、2人で筋トレしたり散歩に出かけたり服を買いに行ったり、一緒に過ごすことが多いくらいです(笑)」

――ほのぼのエピソードありがとうございます(笑)! 4曲目の“雨上がり架かる虹”も、ITSUKIさんとNARITOさんのハーモニーが素敵で、仲の良さが楽曲にも表れていているような気がします。キラキラ~という音に乗せてお2人の歌声から始まるところが心地いいです。

ITSUKI「“雨上がり架かる虹”は導入でフェイクが入るんですが、一番最初の入りの部分からAメロに入る前までは、丁寧にというか、楽曲の持つさわやかさを意識しました。また、全体的にR&Bテイストのリズム感にはなっているので、そのリズム感の雰囲気を壊さず、自分たちの色にどんどん染めていく作業やアジャストしていくのが難しかったですね」

――“雨上がり架かる虹”は、他の楽曲と比べて特に歌詞が聴き取りやすかったように思うのですが。

NARITO「この楽曲はリズムを立たせてなんぼの楽曲でもあるので、導入はもちろんAメロのノリをすごく大事にしています。日本語ってどうしてもモゴモゴ言ってしまうことが多くあるんですが、“雨上がり架かる虹”に関しては、言葉感だったりとか子音をすごく大切に発音してレコーディングに臨みました」

ITSUKI「最後の〈会いにいこう〉の前のアドリブ部分も、実はリズム感をすごく意識しているところで。フェイクなどを使い自由に歌う部分ではあるんですが、自由演技ではなく楽曲のタイミングに全部合わせています。大雑把に自分たちの声や感情を乗せるのではなく、リズムだったり楽器の切れ目だったりを意識している楽曲です。聴いていたら自由に歌っているように聴こえるんですが、楽しんで聴いてもらうためにしっかり練られた楽曲です(笑)」

――すごく緻密に作られた楽曲なんですね。まんまと戦略にはまってしまいました(笑)。そしてデビューEPのラストを飾る“12㎝”は、6分超えの壮大な王道ラブ・バラード! これはもう〈歌っていて気持ちいい!〉って感じですか?

NARITO「そうですね。でも実は、ヴォーカルとしての壁にぶち当たった楽曲というのが“12㎝”なんです。自分自身バラードを歌うのが得意なんですが、想像していた“12㎝”と、自分のありのままの声で出た“12㎝”との違いやギャップがすごく大きくて、そこでつまずいたり、歌えなくなってしまったり、声が出なくなってしまったり。今思い出しただけでも辛くなるんですけど……。

――〈思っていた通りに歌えない〉……そんな葛藤を抱えながらの制作だったのですね。

NARITO「僕が思っていた“12㎝”の声は、ハイトーンでもハリのある突き抜けた声。メロディーと歌声を大切にした楽曲なので、聴いてくださる方に歌詞がスムーズに入る歌い方を表現したかったのに、実際に歌うと聴き苦しいというか、〈あ、この人はハイトーンボイスを頑張って出しているな〉って感じさせてしまうような声になってしまって……。涙を流しながらITSUKIに相談したこともありましたし、ボイストレーニングにも付き合ってもらいました」

ITSUKI「NARITOの中で“12㎝”の完成形を作り上げてしまっていたので、その大枠をいったん壊そうってアドバイスをしました。自分が出したい声だったり、all at onceとしての表現だったり、僕たちの武器である〈まっすぐな声〉を作ることを意識しました。僕自身が“12㎝”で心がけたことは、聴き終わったあと〈12㎝って実はこんなに長い曲だったんだ!〉と思ってもらえるよう、楽曲自体も伸びやかでロングトーンの部分があったりするので、そこを意識して歌っていました」

――“12㎝”は、音楽プロデューサーの亀田誠治さんが編曲されていることでも話題ですよね。

NARITO「緊張し過ぎて、亀田さんに最初にお会いしたときの記憶がないです(笑)」

ITSUKI「弦楽器のタイミングに僕たちの声をどう乗せていこうかすごく考えていたんですが、亀田さんが〈気にしないで自分たちの思うように伸び伸び歌っていいよ〉と言ってくださって、そこで肩の荷がおりたというか、すごくほっとして歌うことができました」

NARITO「亀田さんは僕たちの歌声を〈王道感がある〉と言ってくださっていますが、まさにall at onceは、王道感というか、純粋でまっすぐな歌声を意識してそれを目指しています。そこを亀田さんに認めてもらえたというか、僕たち自身がall at onceとしての第一歩を踏み出せた感じがして、〈王道感がある〉という言葉はうれしかったですね。だからこそ“12㎝”は、all at onceの名刺代わりになる楽曲だと思います!」

――名刺代わりの“12㎝”が収録された『JUST BELIEVE YOU』を携えて、2021年はどんな1年にしていきたいですか?

ITSUKI「CDデビューをすることができてやっとスタート地点に立てたので、まずは僕たちのことを知ってもらう1年にしていきたいですね。ライブができる機会をいただけたら、パフォーマンスで、声で、all at onceを知っていただきたいです」

NARITO「とにかく〈僕たちの歌を聴いてほしい!〉です」

――いよいよall at onceとして本格的に活動が始まります。ITSUKIさんからNARITOさんへ、NARITOさんからITSUKIさんへメッセージをお願いします!

NARITO「普段から言いたいことは言い合っていますが……このデビューEPがスタートラインというのが2人の共通認識なので、ここから改めて頑張っていこう!ですかね(笑)」

ITSUKI「本格的にプロとして頑張っていこうとNARITOを誘ったのが僕なので、責任を感じるつもりはないんですけど、やっぱり責任感は感じています(笑)。厳しい道もあると思うけど、ヴォーカリストとして切磋琢磨しながら、お互いがライバルということも忘れずに……」

NARITO「2人で高め合っていけたらいいよね!」

ITSUKI「(笑)。そうだね!」