かつては直線的なサウンドが持ち味だったロック・バンドが、今やこんなにも豊かな広がりを見せる、なおかつ包容力とほろ苦さのある楽曲を奏でるようになったのかと、しみじみグッときてしまう11作目。ひんやりとしたシンセが次第に温かみを帯びる“さよならだけがおしえてくれた”、ミニマルなループで快感を紡いでいく“倍音と体温”など、一朝一夕では鳴らせないアンサンブルに気の向くまま酔いしれて。