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インタビュー

藤原道山『雙-SO-』変わりゆく世界を見すえる尺八奏者が千住明ら11人の作曲家との〈音楽的対話〉を振り返る

変わりゆく世界を見すえた、11人の作曲家との〈対話〉

 ジャンルを超えた活躍で〈尺八〉のイメージを刷新してきた演奏家・藤原道山。デビュー20周年記念アルバムは、日本を代表する作曲家11人が彼のために書き下ろしたピアノ・デュオ曲で構成されている。

 「1台で世界を表現できるピアノ演奏者と二人だけで、親密な〈対話〉をしてみたいと考えました。20年間でご縁をつないできた作曲家の皆さんに新曲を委嘱し、『尺八=藤原道山がどんなふうに見えているかをありのままに表現してください』とお願いしたのです」

 オーダーなしの一発勝負。にもかかわらず、自作の“曙光”にはじまり“浄夜”(千住明)へと深まっていく一日のような、物語性を持つアルバムとなった。

 「尺八という楽器に対する、皆さんのイメージの多彩さ、表現力の賜物だと思います。レコーディングに際して言葉での〈対話〉も重ねましたが風や歌心をイメージする方もいれば、青空ひとつに〈変化する〉という思いをこめてくださる方もいる。たとえばKeikoさんの“Stillness and Motion”が表現しているのは、尺八の〈静と動〉です。2つの候補曲のどちらも素晴らしくて、合わせて1曲に仕上げていただきました。国府弘子さんの“Bamboo Nest”は、バリの竹でできた場所で、『これは道山だ!』とひらめき、以来あたためてくださっていた曲なんだそうです。(長年ユニットを組む)妹尾武の“Cicada~夏の記憶~”が描くのは、蝉の鳴く日本の夏。僕が夏男であることをよく知る、彼ならではの楽曲です。彼と出会ったのは、千住さんとのレコーディングがきっかけ。千住さんには今回も、〈音の深いところを描く〉ことを学ばせていただきました。一つ一つのつながりに感謝しています」

 作曲家ひとりひとりの名を挙げながら、出会いからの年月やエピソードを語る道山の口調には、自らを信じて前進し続けた20年の重みが宿っている。

 「リモートで〈対話〉を重ねたニューヨークの大島ミチルさんとは、“Color”を生み出すインスピレーションとなった現地のBLM運動や、世界に飛び出すことについても語り合いました。いま世界は変わっています。僕自身、邦楽が〈お正月の音楽〉という固定観念で縛られていた20年前から活動を続けて、そのイメージを打ち破ることはできたと思う。いまは後進の指導や教科書の執筆も楽しくて、尺八がもっと子どもたちの身近にあったらどんな未来になるだろうと、次の20年に向けて奮い立つような気持なのです」

 アルバムのタイトル『雙-SO-』には20年、二重奏をかけた〈ふたば〉のほかに、〈創〉や〈SOW(種をまく)〉という意志がこめられている。同時発売の楽譜集やまもなくはじまるツアーで、その意志を分ちあいたい。

 


タイトル

LIVE INFORMATION
藤原道山 20th Anniversary コンサート『雙-SO-』

○2021年3月20日(土)13:30開演
ゲスト:Keiko(p)村松崇継(p・作曲家)
会場:大阪・住友生命いずみホール
www.dozan.jp/

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