インタビュー

ジョン・グラム(John Graham)『麒麟がくる』大河史上初のSACD化を機に語る、入魂のサントラの全貌

大河ドラマ史上初のSACDハイブリッド盤『麒麟がくる』が誕生!!

 2020年度の大河ドラマで、智将・明智光秀が主人公ということでも話題の「麒麟がくる」。戦国時代を4Kでフル撮影した映像美にふさわしく、音楽面も実に充実している。その最大の注目が、作曲を手がけたアメリカ出身の巨匠ジョン・グラム。『キングスグレイブ ファイナルファンタジーXV』など、ハリウッドを中心に多くの名作を残してきた彼だが、今回、日本の時代劇音楽を書くにあたっても入念な準備を行ってから臨んだという。

 「歴史好きなこともあり、図書館に通って戦国時代の本を読み漁りました。それで当時の雰囲気に合い、現代の聴き手にもふさわしいのはシンセサイザーではなくオーケストラによるアプローチだと思って。全44話のために膨大な数を作曲し、まるで冒険のような体験で、私にも多くの学びと進化がありました」

JOHN GRAHAM 『NHK大河ドラマ 麒麟がくる オリジナル・サウンドトラック 完全盤』 ソニー(2021)

JOHN GRAHAM 『NHK大河ドラマ 麒麟がくる オリジナル・サウンドトラック THE BEST』 ソニー(2021)

 当盤の冒頭を飾る〈メインテーマ〉を演奏するのは、広上淳一が指揮するNHK交響楽団。この重厚かつ爽快なナンバー及び、5曲目“喰うか喰われるか”では、世界的な和太鼓奏者・林英哲が参加しているのも大きな聴きどころだ。

 「戦国時代の武力による支配的な空気と勇壮な光秀像を完全4度&5度で描きつつ、戦乱に巻き込まれた人々の想いを合唱に託して描いたのがこのテーマ。広上さんはエネルギーの塊のように情熱的で、素晴らしい指揮者でした。林さんもシリアスで熱く、英語が堪能。特に“喰うか~”は息を呑む圧巻の演奏だったので、聴き手のは皆さんはきっと彼に恋することでしょう(笑)」

 東京以外にも、弦中心のオケはブルガリア、世界各地の民族笛はロス、金管はナッシュビル、ウクレレはハワイなど、録音場所を適宜変えながら音質にこだわり抜いた当盤。今回は大河ドラマ史上初のSACDハイブリッド盤としてリリースされるが、アルバム後半には、堀澤麻衣子(ヴォーカル)、ジェイク・シマブクロ(ウクレレ)、川井郁子(ヴァイオリン)が演奏を担当した“大河紀行Ⅰ~Ⅵ”が完全収録されているのもの嬉しい。

「甘い声が素敵な堀澤さんは『ファイナル~』でも共演したことがあり、今回は作詞もお願いしました。ジェイクさんの妙技は圧倒的で、いい意味でウクレレではないみたい。川井さんは美しいだけでなく情熱的でパワフル。その虎のような魅力に惚れ込み、“大河紀行Ⅵ”以外にもう1曲演奏していただいたのが、11曲目の“希求”なんです」

 再び日本を舞台にした映像音楽を書くとしたら、「13世紀ですね。海外との関係にも着目しており日本が攻められた元寇も大変興味深いです」と示唆深く語ってくれた。その一日も早い実現を心待ちにしたい。

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