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インタビュー

山下伶『Fantastic Films』ルグランの名曲やピアソラのレア曲でハーモニカの旨味を引き出した新作を語る

おうちで過ごす時間が増えた今だからこそ、ハーモニカの魅力と可能性を再発見。

 4オクターブもの音を自在に出せる(16穴)クロマチック・ハーモニカの人気奏者が待望のメジャー第5作目をリリース。インディー時代からアルバム・タイトルのイニシャルを〈A〉から順に綴り、今回は〈F〉で『Fantastic Films』とした。

 「昨年『ファイナルファンタジーIII』発売30周年記念アナログ盤に参加させて頂いたので、ファンの中には『Final Fantasy』と予想して下さった方もいたみたいです(笑)」

山下伶 『Fantastic Films』 コロムビア(2021)

 本作では珠玉の映画音楽から〈レアな〉名曲も含めて選曲。個性豊かな複数のアレンジャーを起用して、様々な編成と色とりどりのサウンドで同ハーモニカの魅力をサポートしている。冒頭を華麗に飾るのはあのルグラン作品。

 「“キャラバンの到着”は心から信頼しているYUTAKA氏のアレンジで、自分はギターで参加せず、ピアノ・トリオだけでワクワクするようなオープニングを作ってくれた。たった10小節程しかない〈モスラの歌〉を変化に富んだ素敵な楽曲に変身させてくれたのも彼です」

 “ベンのテーマ”の切ないソロ演奏からジャンゴ風の“原始家族フリントストーンのテーマ”、そして戦後日本の名画「東京キッド」の主題歌を手掛けたのはジャズ・ギタリストの田辺充邦。

 「“フリントストーン”にはディズニー音楽っぽいフレーズも入っているのでお楽しみに。そして田辺さんには今回も、美空ひばりさんの楽曲をジャズテイストたっぷりにカッコよくアレンジしてもらいました」

 クラシック・ギタリストの山下俊輔が参加した“追憶”も必聴。ジャケット写真のチャーミングなイメージの“ムーン・リバー”から“ピンク・パンサーのテーマ”、“ラストタンゴ・イン・パリ”などを敏腕アレンジャーの安部潤が初めて担当し、この楽器の可能性を大いに引き出しているのも注目だが、生誕100周年を迎えたタンゴの革命児ピアソラの知られざる映画音楽“サンチャゴに雨が降る”も聴き逃せない。

 「以前Fluca(フルカ)というユニットを組んでいた金益研二さん(ピアノ)のおすすめ曲で、原曲のバンドネオンを私、ヴァイオリンをフルートの大塚茜さんでカヴァーしました。またこの3人で是非ライヴがやりたいですね」

 コロナ禍で自宅に居ることが増えた昨今、ハーモニカを演奏する人も増えて来ているという。

 「YouTubeでJ-Popのヒット曲をとりあげると若い世代からも沢山の反響を頂きます。このアルバムでもクロマチック・ハーモニカがメインで、いろんな楽器と魅惑のセッションを繰り広げるのを音楽ファンの皆さんに楽しんで頂けたら嬉しいです」

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