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10代パンク・バンド、リンダ・リンダズ(The Linda Lindas)がアジア人差別にノーを突きつけた“Racist, Sexist Boys”など今週の洋楽ベスト・ソング

【Pop Style Now】2021年5月21~28日

10代パンク・バンド、リンダ・リンダズ(The Linda Lindas)がアジア人差別にノーを突きつけた“Racist, Sexist Boys”など今週の洋楽ベスト・ソング

田中亮太「Mikiki編集部の田中と天野が、海外シーンで発表された楽曲から必聴の楽曲を紹介する週刊連載〈Pop Style Now〉。いや~、月曜日に開催された〈ビルボード・ミュージック・アワード〉でのBTSのパフォーマンス、最高でしたね! 7人それぞれにしっかり見せ場が用意されていて、〈アベンジャーズ〉シリーズのアツいシーンを観ているかのような興奮がありました」

天野龍太郎「ちょうど1年前、白人警察官によって命を奪われたジョージ・フロイドへの追悼パフォーマンスも行われました。ゴスペル歌手のアン・ネスビーとミネアポリスのサウンズ・オブ・ブラックネスが、“Optimistic”を歌唱。胸を打つものがありました。あと、配信された〈グラストンベリー・フェスティヴァル〉でのトム・ヨーク、ジョニー・グリーンウッド、トム・スキナーによるスマイル(The Smile)のライブも話題になりましたね」

田中「そんななか昨日、ショックな訃報が……。デンマークのインディー・ポップ・バンド、リス(Liss)のフロントマンであるセーレン・ホルム(Søren Holm)が亡くなりました。享年25歳。死因は明らかにされていません」

天野「リスはデビュー・シングルから聴いていましたし、かなりショックです。彼の甘くて艶のある歌声、あの美しさは、これから先も忘れないでしょう。ご冥福をお祈りします。それでは、今週のプレイリストと〈Song Of The Week〉から」

 

The Linda Lindas “Racist, Sexist Boys (Live At LA Public Library)”
Song Of The Week

天野「〈SOTW〉はこれしかないですよね、リンダ・リンダズの“Racist, Sexist Boys (Live At LA Public Library)”! 先週末に世界を沸かせた、話題のパフォーマンスです」

田中「痛快でしたね。米LAのパンク・バンド、リンダ・リンダズは、16歳のベラ・サラザール(Bela Salazar)、13歳のエロイーズ・ウォン(Eloise Wong)、14歳のルシア・デ・ラ・ガルザ(Lucia De La Garza)、10歳のミラ・デ・ラ・ガルザ(Mila De La Garza)の4人組。ミラはルシアの妹で、エロイーズはいとこなんだとか。Netflix作品『クラウディア・キシ倶楽部』(2020年)、『モキシー 〜私たちのムーブメント〜』(2021年)への楽曲提供や出演でも注目を集めていました」

天野「年齢は関係ないのかもしれませんが、10代の彼女たちがこの激しいパンク・ソングを叩きつけるように演奏して、しかも〈Stop Asian Hate〉に関連したアジア人差別にノーを突きつけたメッセージが、とにかく衝撃的でした。ヘイリー・ウィリアムズのような著名ミュージシャンたちも反応して、大きなバズになったのが、先週5月21日ですね」

田中「実は、そもそもダム・ダム・ガールズのクリスティン・コントロールが演奏に誘ったことが結成のきっかけになっているそうですし、アリス・バッグやビキニ・キルと共演していて、ライオット・ガールお墨付きのバンドなんですよね。しかも、デ・ラ・ガルザ家の父親がパラモアやベスト・コーストを手がけるエンジニアで、音楽業界との結びつきも強かったと」

天野「カルチャー・エリートですよね。そういったことから、うがった見方をしている〈大人〉たちもいるようですが……。僕は、とにかく彼女たちのパフォーマンスに圧倒されたし、感動しました。僕のように彼女たちの音楽に感動するオーディエンスがいれば、背景なんてどうでもいいんじゃないかなと。映画『リンダ リンダ リンダ』(2005年)経由でTHE BLUE HEARTSの曲名から取ったというバンド名もいい! あと、演奏が上手い!!」

田中「22日にエピタフとの契約を発表しましたし、今後の活躍が楽しみ。2021年は彼女たちの年になりそうですね」

 

DMX feat. Westside Gunn, Benny The Butcher & Conway The Machine “Hood Blues”

天野「4月に急逝したラッパー、DMXポスチュマス・アルバム『Exodus』が本日5月28日にリリースされました。この“Hood Blues”は同作からのシングルで、亡きDMXの不在に思いを馳せつつ……という感じなのですが、でもこれは〈最高!〉と叫びたくなる一曲ですね!」

田中「そうですね。フルートの怪しげなフレーズがループする、アヴェニュー・ビーツ(Avenue Beatz)とDMXの盟友スウィズ・ビーツ(Swizz Beatz)によるダウナーでダークなブーンバップ・ビートが激スモーキー。激しい雄たけびや吠え声を入れまくるDMXのアド・リブが、聴き手を煽り立てまくる感じもすごい」

天野「客演はグリゼルダ(Griselda)の面々で、ウェストサイド・ガン、ベニー・ザ・ブッチャー(Benny The Butcher)、コンウェイ・ザ・マシーン(Conway The Machine)の順でラップしています。トリは、もちろんDMX。貫禄ありすぎの、デンジャラスなしゃがれ声のラップに圧倒されます。追悼ムードを吹き飛ばす、とんでもない曲ですね」

田中「グリゼルダとDMXはフッド=NYを共有している、というところもいいですね。『Exodus』、今週必聴のアルバムだと思います」

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