孤独な天使は挑戦心が旺盛!? 第二の故郷でのホットな生活が生んだ、かつてのイメージを覆す新しいヴィジョンとは?
青山テルマが実に3年2か月ぶりとなるオリジナル・アルバム『Lonely Angel』を携えて帰ってきた。2011年発表の前作『WILL』以降も編集盤のリリースは続き、その間にはライヴ活動も続けていたわけで、〈帰ってきた〉という表現は少々語弊があるかも知れないが、作品から映し出されるシフトアップ感を目の当たりにすれば、思わず再会の喜びが湧いてくる。そんな『Lonely Angel』は、彼女がティーン時代を過ごした第二の故郷、LAに赴くところから制作のストーリーが始まった。
「オリジナル・アルバムがずいぶん空いてしまったので、まず何がやりたいかが明確に見えてこなくて、それでまず環境を変えようと思って、去年のクリスマスから2か月半ぐらい。中学生のときに住んでいたし、日本でデビューする前に音楽をやっていた場所なので、そこに戻ったらやりたいことだったり、新しいヴィジョンが見つかるかなって思ったんですね」。
自分自身の意のままに、これといったお膳立てもまったくないなかでダウンタウンにマンションを借りた彼女は、毎日のように音楽の鳴っている場所に足を運び、そこで知り合ったトラックメイカーやフォトグラファーなどと交流を深め、自身のプロデュースで楽曲やアルバムのイメージを組み上げていく。
「スタッフがついているわけでもなく、本当に単身だったから、素直にやりたいことをやって、自分が良いなっていうものに耳を向けられた期間でした。結果的に半分以上の曲はLAで作ることができて、ラップに挑戦したりとか、サウンド的にも新しいものを入れることができたんですけど、それこそヒップホップとかは中学生ぐらいの頃からずっと好きだったし、いままで見せられるタイミングがなかったけど、今回はごく自然にやることができたというか、自分のなかではこれまでになく等身大に近いアルバムになったかなって思います」。
〈ラップに挑戦した〉冒頭曲“TOKEYO”を筆頭に、ファレル・ウィリアムズの直球カヴァー“HAPPY”、アッパーなEDMチューン“GIRLS”、ラヴァーズ・テイストの“Turn Your Light On”、ファルセットの麗しいハーモニーを聴かせる“Take It Slow”、高校時代の友人を思いながら作ったというポジティヴなナンバー“SMILE AGAIN”など、貪欲に音楽の興味を広げていった『Lonely Angel』。彼女の王道とも言うべきバラード・ナンバーも随所に散りばめながら……。
「久しぶりに出すからには、良い意味でも悪い意味でも批判されたいというか、リアクションが欲しいなって。いま、良いものでもスルーされる音楽って多いと思うんです。音楽に対してちょっと冷めてる時代なのかなって。だから、私がイメージ通りに王道のバラードばかり作って、それが良い曲だとしてもスルーされるんじゃないか?……それだったら、自分が興味持った音楽を自由に取り込んで、インパクトのある形で表現して、良いも悪いも振り向いてもらえるものにしたいなって思ったんですね。作り終えたいまは、気持ち的にすごくドライヴしてるというか、次のヴィジョンが全部見えてきたわけじゃないんですけど、違った環境で音楽を作るのが刺激的だったし……自分でも大好きなんですよね、このアルバムが」。
▼関連盤を紹介
左から、ファレル・ウィリアムズの2014年作『G I R L』(I Am Other/Columbia)、“GIRLS”のソングライトで関わったMaryJaneの2014年作『STREET NAMES』(VYBE)
BACK PAGES
ここでは青山テルマの近年の歩みを紹介します。4Minuteとのコラボ曲“WITHOUT U”や親友の木下優樹菜に向けたウエディング・ソング“ずっと”を含む3作目『WILL』(ユニバーサル)を放ったのが2011年のこと。直後には初のベスト盤『SINGLES BEST』(同)も発表し、それまでのキャリアを総括しました。2012年はSPICY CHOCOLATEとRYO the SKYWALKERを迎えたシングル“君に会えるから…”でレゲエ方面にも話題を振りまきつつ、MJやマルーン5らのヒット曲を取り上げた洋楽カヴァー集『MY COVERS』(同)で新たな一面をアピール。2013年の編集盤『UP BEAT』(同)と『BALLAD』(同)には、それぞれアップテンポな楽曲とバラード系のナンバーが集められたほか、ここでしか聴けない新録曲も収録されています! *bounce編集部
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ