ベルクか、ウェーベルンか。このマーラーの交響曲第10番のサウンドを耳にしたなら、新ウィーン楽派の作曲家が思い浮かぶ。このカステレッティよる補筆完成版の録音は各パート1名で17人による演奏。第1楽章を除けば、主旋律や断片的なスケッチ楽譜しか残っていないので、小編成アンサンブルの演奏に全く無理がない。校訂が大編成ならかえって様々な音の味つけが必要になるのは当然。その味つけが学者などの考えによるから、それが正しいかろうと隔靴掻痒の感が拭えなかったのか、気づかせてくれる。第1ヴァイオリンに杉村香奈、第2ヴァイオリンで滝千春が参加して、重要パートを担っている。
ジュールズ・ゲイル(Joolz Gale)指揮『マーラー:交響曲第10番(ミシェル・カステレッティ博士の補筆完成、編曲による室内アンサンブル版)』新ウィーン楽派を彷彿させる小編成での無理のない演奏
