京都のトラックメイカー、HALFBYが今年2021年で活動20周年。先日、3年ぶりの新曲“Calm as Day feat. Ruru”をリリースし、ニュー・アルバムのリリースも遠くないと噂される彼が、そのキャリアを振り返る連載〈HALFBYのローカリズム 2001~2021 僕と京都とあちこちの20年〉をスタートします。ポップでユーモラスな文体で綴られた、HALFBYから見たポップ/インディー音楽の20年史。どうぞお楽しみください。 *Mikiki編集部
HALFBYが振り返る20年
お久しぶりです。京都のDJ、ミュージシャンのHALFBY(ハーフビー)です。この度はMikikiさんのご厚意により、HALFBYの活動20周年を記念し、計8回のコラムを書かせていただくこととなりました。よろしくお願い致します。内容はというと、HALFBYの過去作ごとに、同年にリリースされたレコードや音源の話を交えて、京都での制作活動からクライアント・ワーク、各地でのプロモーションやDJのいろいろなどを振り返り、その年のリリース・タイトルでプレイリストも作ってしまおう!という感じで進める予定です。何しろ20年前ですから、めちゃくちゃうろ覚えのまま脱線していきそうな予感もしています。半分フィクションというようなスタンスで楽しんでもらえると非常に助かります。
ということでエピソード1は、HALFBY名義での初リミックスがリリースされた2001年を中心に、12インチのファースト・シングル『And The Coconuts E.P.』をリリースする2002年、CDでのデビュー・ミニ・アルバム『HALF WORKS』をリリースする2003年を含めて当時を振り返りたいと思います。
チャーベ氏に声をかけられ、リミキサーとして奮起
あれは2000年の春、大阪は北新地の老舗クラブKARMA(カーマ)にて行われていたクラブ・パーティー〈ESCAPE〉にて、当時の職場ZESTの同僚・小野(真、Toss & Volley)くんと共にサポートDJとして参加していた僕。パーティーのメインDJでもあるCubismo Graficoこと松田岳二氏ことチャーべくんに、Cubismo Graficoのリミックス・アルバムを出すから参加してみないか?という誘いがあったことから物語は始まります。
当時、楽曲制作はおろか、バンドや演奏経験も無しの(現在もほぼ一緒ですが)所謂ペーペーだった僕ですが、DJは割と考えてやっていたこともあり、チャーべくんからCUBISMO GRAFICOも、小西(康陽)さんの〈良いDJは良いミュージシャン〉というパワーワードによって始まったという話を聞かされ、めちゃくちゃ良い気分に。心の中に〈オラ、ワクワクすっぞ!〉の気持ちが芽生えてしまい、唯一弾ける“とんぼのめがね”ピアニカ独奏だけを武器に、リミックスの依頼を引き受けます。