PR
インタビュー

Official髭男dism『Editorial』メジャー2作目から溢れる、尽きない創作欲求と新鮮さ

Official髭男dism『Editorial』メジャー2作目から溢れる、尽きない創作欲求と新鮮さ

サウンドプロダクションを含む楽曲の良さでJ-Popの価値観を更新した前作『Traveler』以来、約1年10か月ぶりとなるニュー・アルバム『Editorial』。“I LOVE... ”から直近の“Cry Baby ”に至るシングル5曲をはじめ、初めて松浦匡希が藤原聡と共作に挑んだ楽曲など、尽きない創作欲求と新鮮さが溢れる。

タイトルチューンである1曲目から新鮮な驚きに満ちた今作。

藤原聡(ヴォーカル、ピアノ)「この曲が序章として入るっていうことはすごく大事で。最終的には前を向いて欲しいとか、ポジティヴな思いの足しになればっていう気持ちで作った曲がヒゲダンの活動の中だとたくさんあるんですけど、答えが見つからないっていう曲があってもいいんじゃないかっていうのは個人的には新しい扉だったように思ってまして。だから声とデジタルクワイアだけの曲が存在するっていうことも、自分たちが美しいと思えばやっていいわけだし。一個このアルバムで象徴になってる曲ではあると思いますね」

祈りのような響きはアルバムのリード・トラックである“アポトーシス”にも繋がっていく。〈生物のプログラム細胞死〉を意味するいわゆる医学用語だが、愛する者への眼差し、例えば母親が成長した娘を見つめて話しているようなイメージも浮かぶ。

藤原「歌いたいことが定まったのはちょうど2020年の自分の誕生日の日でした。あと1年で30ってことで、僕に残された20代の時間はわずかなんですけど、そこに思いをはせた時に、自分の中に不安や憂いだったりっていうものがあって。今までそういうものを曲にしちゃいけないと思ってたけど、これを綴って残しておきたいなという風に思ったのがきっかけで、この曲を作りましたね」

小笹大輔(ギター)「ただ荘厳な方向に行くんじゃなくて、力強さみたいなのもあった方がいいだろうと思って、ストリングスがやりそうなフレーズをギターのツインリードでハモって弾いてるんですけど、意外と針の穴を通すようなとこを行かないといけなくて。自分の頭の中に正解がないところから走り出してたと思うんですけど、最終的には実現できたような気はしてますね」

そして今回、初めてドラムの松浦匡希発案で、藤原と作詞作曲を共作した“フィラメント”がさらに新たな扉を開く。

松浦匡希(ドラムス)「ならちゃんも大輔も書いてますけど、〈あ、この人が書いたんだろうな〉って、前作で感じたんです。近い人だと分かるものになるんだなって。今回自分が書いてみて、〈俺のうつし鏡〉じゃないけど、そういうのがすごい出てるなとひしひしと感じました」

フックが多く、展開がスリリングなヒゲダン楽曲の中で、これまでにない素直なメロディーラインに彼の個性が反映された曲だ。ベースの楢﨑誠曰く、メンバー全員でのスタジオ作業はこれまた練りに練った“Universe”と同等の長さだったとか。怒涛の展開を見せる“Cry Baby”で前半のピークを迎え、“Shower”、“みどりの雨避け”、“パラボラ”という、日常が窺える楽曲へと緩急がつけられ聴いていて楽しい。

アコーディオンやヴァイオリンが温かみを添える楢﨑作の“みどりの雨避け”に関しての彼のイメージはこうだ。

楢﨑誠(ベース)「〈行きつけバー〉的なところって故郷みたいなものと似てて、第二の自分の場所になっちゃってるじゃないですか。だからDメロで少年の頃を思い出してるのも、時代時代の故郷感みたいなのも入ってるのかもしれない。ちなみに“Shower”からの3曲は街っぽいということで〈住んでる三銃士〉です(笑)」

前作の“Rowan”に続いて、外部の風を持ち込んだのは小笹作の“Bedroom Talk”。共同アレンジャーにmabanuaを迎えている。

小笹「グルーヴは自分の手札にないものからやりたいなという思いがあったんです。レイドバック感とか。それに関してはイメージとしてまずmabanuaさんが出てきたんです。メンバーは4人それぞれ楽器を演奏したんですけど、それを一回全部他の人に渡して、そこからアレンジを揉んでもらうということをやってみて、それが面白かったです。自分の頭で想像することも大事だと思いますけど、いろんな人に会ってみる、一緒にやってみるってすごい楽しいことだなと思いましたね」

終盤には、いい意味で重みのあるメッセージが込められた“Laughter”と“Universe”に至る展開もアルバムならでは。

そしてラストの“Lost In My Room”の主題は冒頭の“Editorial”にも通じる。更なる飛躍を期待される中、長期に渡った今作の制作期間を振り返る藤原の言葉は力強い。

藤原「いい制作でした。すごく。これから先、続けていくために大事な鍵を4人でつかむことができたような気がしていて。それが何よりの財産だなと思ってますね」

関連アーティスト