2020年3月、ウィーン・コンツェルトハウスで行われたコンサートを録音したピアニスト、クレイグ・テイボーンの最新作。ECMオフィシャルサイトには〈すべて即興〉と記されている。デレク・ベイリーによるイディオマテックなもの、ノンイディオマテックなものに分類される即興演奏の定義は、経験的ものとして固定されてきた即興領域とそれを通してしか聴こえてこない、その影のような非経験的領域を産んだ。それは演奏者と聴衆の、演奏者と楽器の間のひそひそ話。聞き覚えのあるサウンドが一瞬屈折して、未知のサウンドを表出する。それはタイトル〈シャドープレイ〉のように、足元の、他人にしか踏むことができない影を追う影踏みのような遊び。
クレイグ・テイボーン(Craig Taborn)『Shadow Plays』それは演奏者と聴衆の、演奏者と楽器の間のひそひそ話
ジャンル
ジャズ