レイ・ブラックはナイジェリア生まれでロンドン育ちのシンガー。6年前に初EPを出し、ストームジーやSGルイスを迎えたミニ・アルバムも好評を集めた彼女の初フル・アルバムは、制作陣にナナ・ローグスやPRGRSHNといった気鋭を迎え、英米折衷スタイルのR&Bに挑んでいる。歌では〈アクセス拒否〉をしてきた自分とされてきた自分の苦い体験をもとに人種問題にも斬り込んでいるが、デバージ“Stay With Me”を引用したキャッシュ・ペイジ客演の“MIA”に代表されるようにサウンドは親しみやすい。コージー・ラディカル客演の“Smoke”やギグスを招いた“Games”などのトラップ系からステフロン・ドンを招いたダンスホール風ポップ“Over You”まで、滲み出るアフロ感にも惹きつけられる充実作だ。