2018年に結成された、新潟を拠点に活動するスリーピースバンドE.scene(イーシーン)。発起人であるYoshinao(ドラムス)と楽曲制作の要であるCHIPPI(ベース)のルーツであるファンク、ネオソウル、ジャズを取り込んだサウンドと、一言歌えばフルボディな味わいが広がる真琴(ボーカル)の特異な歌声が、組んずほぐれつ絡み合う。そこにシンセサイザーを始めとする他の音色も同期させることで最適化を図っていくメソッドは実に早熟で、翌2019年には〈ROOKIE A GO-GO〉で〈FUJI ROCK FESTIVAL〉に出演、〈出れんの!?サマソニ!?〉の最終選考に選出されたのを皮切りに、早くから全国的に注目を集めた。
そしてこの度、約1年ぶりの新作EP『Found me』を発表。本作に溢れているのは、最適化からもう一歩踏み込んだ、3人だけの音楽を見つけ出して最大化しようとする熱意と、その確かな手ごたえだ。あくまでドラム、ベース、ボーカルのアンサンブルを重視し、他の音は鎹に徹する。ミニマルな印象も受けるほどの大胆なアプローチだが、歌とサウンドが見事に溶け合った独自の音像が構築されている。
平均年齢22歳にして、早くも最初の到達点を迎えたとも言える本作の背景について、制作の拠点であるというYoshinaoのスタジオに集結した3人とZoomを繋ぎ、話を訊いた。
先輩プレイヤーに鍛えられ、ブラックミュージックにのめり込んだCHIPPIとYoshinao
――3人が出会ったのは今もみなさんが住んでいる新潟ですか?
Yoshinao「そうです。僕は主に新潟市内にあるGOLDEN PIGSやCLUB RIVERSTで、中学の時から10歳くらい年の離れた人とバンドをやっていました。
それまで自分とやりたい音楽が近い同世代のプレイヤーが周りに全然いなくって。CHIPPIとは対バンで出会ったんですが、比較的年齢も近くてすごくうれしかったんです。音楽の話も合ったし、どうしても一緒にバンドをしたくて誘ったのがきっかけです」
CHIPPI「自分はYoshihnaoより2歳年上ですけど、それでも同世代は少なかったですね。10~20歳くらい年上の方とやることが多かったです」
Yoshinao「新潟は他の都市よりも楽器のプレイヤーは少ないでしょうし、同世代のバンドはいわゆるギターロックが多くて」
――やりたい音楽が近い同世代がいなかったとのことですが、お2人はどういう音楽が好きだったんですか?
CHIPPI「中学の頃に最初にハマったバンドはレッド・ホット・チリ・ペッパーズです。そこからPファンク。パーラメントやファンカデリックをずっと聴いている時期があって、ディアンジェロ、エリカ・バドゥとかソウルクエリアンズの作品も好きでした。だからルーツはファンクとかネオソウルにあるかもしれません」
――かなり体系立ててのめり込んでいっていますね。それらはどんな感じで知っていったんですか?
CHIPPI「そもそも小学生の時にビッグバンドのようなことをやるブラスバンド部に入ったことでベースに出会いまして。楽しかったから中学になっても続けたかったんですが、まだ周りにバンドをやるような友達もいなかったんです。
だからYouTubeで検索して、レッチリのフリーとか、マーカス・ミラーのような派手なプレイをするベーシストを好きになっていきました。それでネットで記事を読んだり、動画のコメント欄に出てくる固有名詞を調べて、どんどん知っていった感じです」
Yoshinao「僕も小学1年の時にドラムを始めて、初めはHi-STANDARDとか色んなジャンルを演奏するのが楽しかったんですが、そのうちどんな音楽にもルーツがあることに気づいたんです。
自分が一番好きなドラマーはクリス・デイヴなんですが、だんだんブラックミュージックを聴くようになっていましたね」