こんにちは、TOWER DOORSスタッフです。

昨年末、TOWER DOORSの2019年人気楽曲ベスト30を発表しました。上位にランクインしていたのは、大きな躍進を見せた中村佳穂や、待望のファースト・アルバム『Temporary』をリリースしたCRCK/LCKSの楽曲。ジャズやソウルなどのブラック・ミュージックのエッセンスを持ったオリジナルなサウンドを奏で、かつヴォーカリストとしての歌声がとても魅力的なアーティストが目立ちます。そういった意味で、最近は〈歌の力〉というものを強く感じるようになりました。

今回は、そんな潮流を踏まえつつ、中村佳穂やCRCK/LCKSが好きなリスナーにオススメしたいアーティストを紹介します。

なお、いままでメール・インタビュー〈6つの質問〉を行ったアーティストの楽曲は、下の再生リストにまとめてあります。ぜひご活用ください。

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今回登場してもらうのは、“あしたははれかな”を提供してもらったSahnya(サーニャ)です。

Sahnyaは新潟を拠点に活動するシンガー・ソングライター。17歳から音楽の道を歩み始め、バンド活動やソロ・シンガーとしての活躍、ラッパーとの共演など、幅広いジャンルでヴォーカリストを務めています。

彼女の一番の魅力は、なんといっても歌声。大草原を駆け抜けるような勢いと透明感を併せ持った美声は、一度聴いたら虜になること間違いないでしょう。一生に一度あるかないかの一目惚れを思わずしてしまう、唯一無二の歌声の持ち主です。歌声だけでなく、その声によって紡がれる歌詞がまた文学的で、彼女のもうひとつ魅力となっています。そのリリックからは、情景が浮かび上がるようです。

それでは、そんなSahnyaに〈6つの質問〉から迫っていきましょう。

 

1. 出身地と音楽活動を始めたきっかけ(バンドであれば結成のいきさつ)について教えてください。

「新潟県出身です。音楽活動を始めたのは17歳の時でした。同じ学校に趣味の合う仲間が居なかったので、当時主流だった掲示板のメンバー募集記事に応募して、バンドを始めました。ひと回りもふた回りも年上のメンバーの居るバンドにヴォーカルとして加入し、Jefferson AirplaneやJanis Joplin、ロックのカヴァーなどを歌ったりしていましたね。紆余曲折ありながら、今の活動スタイルに落ち着いた感じです」

2. 現在の音楽性に影響を与えたと思うアーティストや楽曲は?

「16歳の時、Pink Floydの名盤『The Dark Side Of The Moon』を初めて聴いてめちゃくちゃ衝撃を受けてしまって、とり憑かれたように聴いていた時期があったんです。半年くらい寝る前のBGMにし続けたんですが、絶対夜中に飛び起きるんですよ。眠りが浅くなった時、“The Great Gig In The Sky”のClare Torryの歌う素晴らしいスキャットで。昼に聴くと平気なのに、丑の刻に聴くとすっごい怖くて…いつも背筋が寒くなって。でも不思議とやめられなくて、毎夜Clare Torryで起こされる。おかげで授業中いつも寝てました。私もClare Torryみたいに歌いたいという強い憧れが、音楽への衝動のキッカケだと確信しています」

3. 今回TOWER DOORSで紹介した曲はどんなふうに生まれた曲で、どんなことを表現していますか?

“あしたはれかな”

「これはまだ小学生だった自分の日記みたいな曲ですね。毎日空想をしながら帰るんですけど、そこにはルールがあって、それは〈影の上から落ちちゃいけない〉です。無邪気なあの日々、愛していた景色や物語、感じていたことを思い浮かべながら書きました。ビートはアヌス(福田ハワイ)くんが眠ってたやつをポンってDropboxで送ってくれて一気にイメージが湧いて。彼は天才的なミュージシャンです。ビートに歌わされたような格好で、夕焼けを見ながら一気に書き上げました」

4. 交流のあるアーティストでいま注目しているのは?

「注目というか、いつも遊んでるGOOD TRIP EXPRESSのみんなをとても愛しています。

GOOD TRIP EXPRESSは工場長princeを核とした、パーティ集団なんですが。みんな音楽やサブカルチャーをこよなく愛していて、心から頼りにしていて。同じセンチを分かち合う、最高の友達ですね。アートワーク担当のNOOBくんはCharaさんのグッズのデザインも手がけています。

それから、E.sceneジュアンズ、新潟県の若者たちは素敵です。音楽にまっすぐな姿勢、尊敬しています」

5. TOWER DOORSは新しい音楽との出会いを提供することをコンセプトとするメディアですが、あなたが最近出会った新しい音楽は?

「2019年は年末にかけて名作ラッシュだったので追いつくのが大変でしたが、新しい出会いというテーマで真っ先に思い浮かんだ一枚は昨年9月リリースのAmamiaynuのアルバム『Amamiaynu』です。

アイヌ音楽と奄美民謡、日本列島を縦断してのコラボレーションは、貴重な記録であり、伝承であり、新しい響きの出会いであり、また再会でもあり……私にとってはまさに、夢のような一枚でした。聴いているとどこか懐かしく、魂の傷をケアされるような不思議な感覚に包まれます」

6. ライヴやリリースといった今後の活動や、やってみたいことなど、これからの展望について教えてください。

「音楽に限らず、心が豊かになるような経験をしたいです。異文化を学びたいので、国内外問わずたくさんの地を訪れてみたいですね。音楽に関してはいつも気持ちの良いペースと、距離感で居たいなと思っています。

新しい取り組みとしては、昨年夫のKragamusaと結成した〈mawe(マウアウェ)〉がまだ実験段階なんですが、リアルタイムでのビート錬成とヴォーカルの多重録音という変わったことをやっているユニットなので、もっと音楽性を磨いてクールにしていきたいですね」

 

Sahnyaは昨年の12月に新作アルバム『My poetic scenes』をリリースしました。ダイレクトに心に響く歌詞や、こだわり抜いたジャズやヒップホップ、エレクトロニックが混然一体となったオリジナリティーあふれるサウンドに驚かされるアルバムに仕上がっています。またSahnyaのヴォーカル・スタイルは、とてもユニーク。歌とポエトリー・ラップがシームレスに繋がった独自の歌唱法にも、ぜひ注目してください。完成度の高い『My poetic scenes』、一聴をおすすめします。

 


RELEASE INFORMATION

Sahnya My poetic scenes Sahnya(2019)