(左から)ゆゆん、よせい、実果、作山由衣、大原きらり
 

avex × テレビ東京による次世代オーディション番組「ヨルヤン」から誕生した5人組、mzsrz(ミズシラズ)。歌唱力だけでなく〈声〉を基準に選ばれたのは、全員が当時10代のボーカリスト。まだ何色にも染まっていない、それゆえに無限の可能性を内包したその歌声は、彼女たちと同世代はもちろん、日常に漠然とした不安を感じるすべての人々の心に寄り添う、ピュアな魅力を備えている。

その本領を存分に味わうことができるのが、このたび届けられたファーストアルバム『現在地未明』だ。全曲のプロデュースを手掛けたのは、人気ボカロクリエイターのDECO*27。彼特有の繊細な心の機微を表現したリリック、Rockwell、TeddyLoid、ポリスピカデリーらを制作陣に迎えた現代的なサウンドプロダクション、楽曲ごとに異なる色で混ざり合う5人の瑞々しい歌声。デビューから約1年の軌跡の集大成にして、ここからまた次の〈夜明け〉を予感させる待望のアルバムについて、メンバーの大原きらり、作山由衣、実果、ゆゆん、よせいに話を聞いた。

mzsrz 『現在地未明』 avex trax(2022)

デビューから1年、もっとも印象的だった出来事は?

――2021年1月にシングル“夜明け”でデビューしてから約1年、皆さんはmzsrzの活動を通して初めて体験したことも多かったと思います。あらためてこれまでを振り返って、特に印象深かったことを教えてもらえますか?

よせい「この1年を通して、たくさんの新しいことにチャレンジさせていただきましたが、そのなかでもいちばん心に残っているのは、デビューシングル“夜明け”のミュージックビデオの撮影です。(MV撮影は)初めての経験だったので、緊張しましたけどワクワクもあって。たくさんの方々と一緒にひとつの作品を作る楽しさを感じることができましたし、完成品を観たときは〈あの撮影がこんな映像になるんだ!〉という感動がありました」

『現在地未明』収録曲“夜明け”
 

――自分も特に冒頭のカット、実果さんとゆゆんさんが直立姿勢のまま口ずさみながらゆっくりと後ろに倒れるシーンは、不思議な映像だったので印象に残っています。

よせい「そうなんです! 私もすごいなあと思いながら、撮影の様子を横で見ていました」

ゆゆん「私も“夜明け”のMV撮影が心に残っています。あのリップシーンのところは、ゆっくりと後ろに倒してもらいながら、1.5倍速のスピードで歌いながら撮影しているんです。口の動きもそれに合わせて撮っていて。この1年間、本当に夢のまた夢のまた夢みたいな、まったく想像していなかった未来を体験しているので、全部のことに対して〈こんなことになるなんて……!〉と驚いています(笑)」

※その映像を通常の速度で再生するとスーパースローな映像になる
 

作山由衣「私はファンの皆さんからメッセージをもらえたことがいちばん印象的です。いままで自分の歌い方や発声について、自分であまり満足いかない部分があったんですけど、〈まっすぐ伸びる声がすごく突き刺さりました〉と言ってくださる方が多くて。自分がメッセージをもらえる立場に立てていること自体がすごく不思議だったし、自分を受け入れてくれる方がこんなにたくさんいることが嬉しくて感動しました」

実果「私はライブ映像(アルバムの〈ライヴ映像 ver.〉に収録)の撮影が心に残っています。収録自体は無観客で行ったので、カメラの向こう側の映像を観てくださる方に〈自分の想いがちゃんと届くのかな?〉と思ったし、バンドの演奏に合わせて歌うのも初めてだったので、最初は不安しかなかったんです。でも、5人で歌っているとすごく楽しくて、そのライブ映像を自分で観返しても、〈うわー、こいつ何やってるんだ〉と思うくらい本当に楽しそうに歌ってるんですよ(笑)。いい思い出になっています」

大原きらり「私はもともと人とお話するのが苦手で、学生時代に青春らしい青春を送ってきていなくて……(苦笑)。学校行事に参加するのも嫌で、団体行動を行うのは無理だと自分で思っていたんです。なので(オーディションに受かって)5人グループで活動すると聞かされたときは不安だったんですけど、メンバーのみんながすごく優しくて。MV撮影で同じホテルに宿泊したときも、ずっと一緒におしゃべりしたり、学生時代にできなかった青春を一気に体験できている感じがして、いまはすごく幸せです」