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男臭い暴走ロックンロール! オールマイティー『Blood, Fire & Love』

――さて。荒金さんの3枚目はオールマイティーの『Blood, Fire & Love』(89年)です。オールマイティーはスコットランド出身のバンドですね。

THE ALMIGHTY 『Blood, Fire & Love(生産限定盤)』 Polydor/ユニバーサル(1989, 2022)

荒金「ものすごく好きなバンドで、今日もオールマイティーのTシャツを着てきました。

今回選んだのはファーストで、この1枚目と2枚目の『Soul Destruction』(91年)が〈VOL.5〉で出ています。この2枚は、まさにモーターヘッド直系の暴走ロックンロール!

オールマイティーの89年作『Blood, Fire & Love』収録曲“Wild & Wonderful”

個人的にはバンドらしさが出てきた3枚目の『Powertrippin’』(93年)を経て、さらにオリジナリティーを開花させた4枚目の『Crank』(94年)が最高傑作だと思うんですけど、この1、2枚目からポップでパンキッシュになった後期の作品を含めて、どの時期もかっこいいバンドです。

『BURRN!』のようなメタルメディアで取り上げられていて、90年代の日本でものすごく人気があったバンドですね。40、50代のメタルを卒業した方でも、〈オールマイティーは聴いてましたよ!〉って話が弾むことが多くて」

――いい話ですね(笑)。

荒金「ただ、作品がサブスクにあまりないんです。なので、ぜひ今回買ってほしいですね。入口としては、『Crank』収録曲のパンキッシュなロック“Jonestown Mind”がおすすめ。『HEAVY METAL SOUNDHOUSE』で、伊藤政則さんが必ずかけていました。歌声、演奏、どれも最高です。

95年に日比谷野外音楽堂でライブがあって、オープニングアクトがディジー・ミズ・リジーだったんです。この曲を1曲目にやって、あまりにもかっこよくて宇宙まで飛びました(笑)」

オールマイティーの94年作『Crank』収録曲“Jonestown Mind”

田中「オールマイティーは、僕も何枚か持っていました。声がしゃがれていて、かっこいいんですよね」

荒金「そう。男臭くて、唯一無二なんですよね。ちなみに、ボーカルのリッキー・ウォリックは、ソロ活動もしつつ、ブラック・スター・ライダーズというバンドをやっています」

 

非メタルファンにもマニアにもおすすめの〈入手困難盤復活!! HR/HM〉

――では、最後に本日のご感想をお聞かせください。

熊谷「自分はメタルが大好きなんですけど、この再発シリーズには〈こんなに知らないバンドが出てくるのか!?〉と毎回驚かされています。〈VOL.10〉くらいは軽くいけるほどのネタが絶対あるはずなので、今後も楽しみですね。

ただ、メタルという枕詞があるからって、敬遠してほしくはないですね。もちろんメタル好きな人には買ってほしいのですが、メタル好きじゃない人もハマる作品が絶対にあるはずなので。〈どうせメタルでしょ?〉と非メタルファンからは思われがちですが、メタルって音楽性が幅広くて演奏力の高さや楽器へのこだわりも強いので、ぜひこの機会に入ってもらいたいなと」

田中「僕は、90年代に見過ごされている名盤が多いことに気づかされました。この機会に、ミクスチャーだけでなく、90年代のHR/HMを洗い直してみようかなと。

あとは、熊谷さんが言うように、〈HR/HM〉というラベリングやジャンルに囚われず、実際に聴いてみてほしいですね」

荒金「そうですね。良い作品がすごく多くて、取りこぼしているものがたくさんあったので、僕も何枚か買おうと思っています。

あと、若い人がどう思うのかは、すごく気になりますね。この座談会記事を読んで興味を持った方には、ぜひどれか1枚でも手に取ってほしいです」

熊谷「〈VOL.1〉で『Mother Heads Family Reunion』(94年)が再発されたリッチー・コッツェンは超美形なので、そういうところからメタルに入ってもいいと思います(笑)」

田中「80~90年代のジョン・ボン・ジョヴィも、めちゃくちゃかっこいいですしね。セバスチャン・バックなんかも、ルックスが最高です」

――見た目ですか……(笑)。とはいえ、ステージングやパフォーマンス、ファッション、佇まいのかっこよさというのも、ロックやメタルにおいては重要ですよね。

荒金「それと、このシリーズではメロハー(メロディックハードコア)で渋くて良い作品が出ているので、おすすめです。コールド・スウェット『Break Out』(90年)ジャイアント『Last Of The Runaways』(89年)スティールハート『Tangled In Reins』(92年)など、良い作品なのに中古盤市場で高値が付いてしまっているものが多いんですよね。

あと、スレイヤーの2枚組ライブ盤『Decade Of Aggression』(91年)がこの値段で買えるのは、とても良いと思います。これ、スレイヤーへの入り口として最高なんですよ。〈スレイヤーとは何ぞや〉っていうのがよくわかります。

テスラも〈VOL.4〉で出た3枚は良い時期で、特に『Psychotic Supper』(91年)はすごく良いアルバムです。『Five Man Acoustical Jam』(90年)というライブ盤も、めちゃくちゃおすすめですね。聴き逃していた人は、改めて聴いてほしいです。

他にもトラ・トラやモンスター・マグネットの『Superjudge』(93年)『Dopes To Infinity』(95年)『Powertrip』(98年)……。良い時期の作品ばっかりだな~」

田中「黄金期ですね」

荒金「本当にそう。ジャッカルの2枚やトリクスター、リトル・シーザーなんかも良いんですよ。メロディーが良いので、メタル好きじゃなくても心を掴まれるはず。掘り出し物が多いので、〈買い〉ですね」

熊谷「ユニバーサルの再発シリーズはいろいろなジャンルがありますが、メタルは〈VOL.5〉と長く続いているんですよね。それだけ良い作品がたくさんあって、好評だということは知ってほしいですね。個人的には、南米編やオセアニア編を出してほしいです!」

 


RELEASE INFORMATION

初CD化&入手困難盤復活!! HR/HM VOL.5:世界15カ国編
大好評シリーズ第5弾! ゲイリー・ムーア、グラス・タイガー、ゴーキー・パーク、ステージ・ドールズ、チャイナ、デアー、ドロ、マグナム、ウォーロックなど豪華アーティストの作品68タイトルが低価格1,100円(税込)にて限定発売!
https://tower.jp/article/feature_item/2022/01/07/0102

入手困難盤復活!! HR/HM VOL.4:北米編
アリス・クーパー、サミー・ヘイガー、ハート、エクソダス、パット・ベネター、テスラなど現在入手困難となっているHR/HM豪華アーティストの作品が低価格1,100円(税込)にて限定発売! シリーズ第4弾は北米編として全78タイトルが一挙リリース! お買い得なこの機会をお見逃しなく!
https://tower.jp/article/feature_item/2021/11/10/0102

 

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