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しばしの休憩を挟んで、第二部が開始。DedachiKentaは、どことなくマイケル・ジャクソンを思わせるシルエットのジャケットを羽織って再び舞台に現れた。そんな彼を、下手のチアゴ、上手のレナート・イワイ(Renato Iwai)が脇を固める。

1曲目は、オーセンティックなアコースティックギターの音色と共にスタートする“Tattooed Hollywood”。レナートがパッドで叩き出す4つ打ちのエレクトロニックビートが加わり、LAの爽やかな空気が会場を吹き抜ける。

「それではみなさん、Stage Twoを始めたいと思います! Hoo!」と告げて“Walking In The Rain (Alright)”を続けるDedachiKentaに、オーディエンスは体を揺らして手拍子で応える。軽快なカッティングが紡ぐグルーヴがハッピーなムードを生むチアゴのギターと、リズミカルで端切れの良い歌を聴かせるDedachiKenta。ステージ上で歌っているのは、第一部とはまったく異なる〈ポップスターDedachiKenta〉だ。

「素晴らしいチームのメンバーです!」と、共に音楽を奏でる仲間であるチアゴとレナートを会場に紹介すると、DedachiKentaは「Let’s have a little fun, shall we?」と2人に声を掛けてAmPmとのコラボ曲“more”をスタートさせた。こちらもリズムギターの軽快さが印象的な、アップテンポでブリージンな曲。ビートに合わせて嬉しそうに歌いながら、そばに置かれたキーボードも弾くDedachiKentaの姿に、思わずこちらも笑顔になる。

〈Kenta流のシティポップ〉とでも言うべき曲を立て続けに披露し、Veats Shibuyaをダンスフロアに仕立て上げた後は一転、ヨレたビートがダークな雰囲気を醸し出す“This Kind of Love”へ。この曲でも自らキーボードを弾き、さらに「This kind of love」と繰り返すコーラスで高く伸びていく歌がとりわけ強い印象を残した。

次は、未発表曲“Green Eyed Monster”をエレキギターの弾き語りで披露。不安定な心情を歌った“Green Eyed Monster”は少しヘビーな余韻を残したが、DedachiKentaはすぐに「みなさん、楽しんでますか?」と明るく観客に声をかけて空気をほぐす。

会場で流れていたSEと舞台上のスーツケースについて触れながら、「旅に出ている感じ、味わえたでしょうか? 僕は今、大学を休学中で、このライブは〈Transit〉(乗り換え)をしている期間にfriendsと一緒に〈Jam〉をする、という意味なんです」と、公演の趣旨を語るDedachiKenta。「みなさんの人生の旅の途中で道が重なり合い、こうやって大好きな音楽を分かち合えるのは素晴らしいことですよね!」と、この日の特別さを言葉にした。

続けて歌ったのは、デビュー曲の“This is how I feel”。ライブの翌日にリリースされるリミックスは、レナートの紹介によってブラジルの若き天才エコロジック(Ecologyk)が担当したという。ウクレレを抱えて歌うDedachiKentaをレナートがベースで支える軽やかなこの曲は、春にぴったりな曲だと実感した。

続けて、チアゴのカッティングギターが実にファンキーでダンサブルな“Step by Step”をソウルフルに歌う。ジャンプしながら歌ってもまったくブレないDedachiKentaの歌の芯の強さ、そしてアーニー・アイズレーを彷彿とさせるチアゴのギターソロが見事だった。

間髪を入れずに、昨年10月に発表されて話題になったシングル“Strawberry Psycho”を披露。ワウギターにヘビーなベースとダンスビート、DedachiKentaの歌と赤や緑の照明が怪しげな世界を描き出していく。

「This is the last song!」と言ってすぐに歌い繋いだのは、〈Transit Jam〉を象徴するような“Fly Away”。飛行機で上昇していくイメージを喚起させるパワフルな曲を今日一番の力強さで歌い上げ、フロアをとびきりホットに染め上げて、3人はステージを去っていった。