シンガーソングライター、Kenta Dedachiの活動から、いま目が離せない。
2022年3月、彼からはいくつものニュースが届けられた。まず、フジテレビTWO × ひかりTVの共同制作ドラマ「恋と友情のあいだで」の主題歌、The Burning Deadwoods“No Other Way feat. DedachiKenta & Sincere”にボーカリストとして参加したこと。同曲でKenta Dedachiは、Sincereとの温かく切ないデュエットを披露している。そして、初の東京でのワンマンライブ〈Tokyo first one man live “Transit Jam”〉を成功させたかと思えば、このたび〈DedachiKenta〉から改名し、ニューシングル“Fire and Gold”でEPICレコードジャパンからメジャーデビューを果たした。さらに、この“Fire and Gold”は、東京国際工科専門職大学・大阪国際工科専門職大学・名古屋国際工科専門職大学のTV & ウェブCMの新たなタイアップソングに決定している。
あまりの目まぐるしさに、本人も多忙でてんてこまいになっているのではないかと少し心配したものの、それは杞憂に終わった。いつものナチュラルなまぶしい笑顔でZoomの画面に現れたKenta Dedachiは、音楽に集中できる環境と盤石の体制が整った現在の活動を心から楽しんでいるようだ。
今回は、〈僕らなら世界を変えられる〉というコンセプトのもと同世代に向けて制作したというアンセム“Fire and Gold”を軸に、新天地での活動や、いま始まったばかりのKenta Dedachiの新たな旅について、プロデューサーのレナート・イワイ(Renato Iwai)を交えて訊いた。
〈Kenta Dedachi〉としての新たな旅
――2月に配信されたYouTubeの〈Kenta’s Journal〉では、オフィスオーガスタを退所され独立されたことと、大学の春学期を休学されたことを発表していましたよね。改めて、オーガスタへの思いを聞かせていただけますか?
Kenta「オフィスオーガスタとは2018年から約3年間、ご一緒させていただきました。僕が個人で音楽をやっていた頃にいまのマネージャーさんがYouTubeで僕を見つけてくれたんですけど、当時始めたばかりのライブを、スタッフの方々を連れて観に来てくださったんです。そんな最初期から手厚いサポートをしてくれて、すごく良くしてもらった事務所でしたね。
所属アーティストのみなさんもすごく仲が良くて、大先輩なのに僕をウェルカムしてくれました。自分もファミリーの一員になれた感覚があって、本当にうれしかったです。〈Augusta Camp〉への参加など、たくさんの経験を積めたので、自分のミュージシャンシップを育ててもらったと思います。
ただ、オーガスタを離れても、自分のなかでは、それほど大きなチェンジがあった感覚はないんです。オーガスタの後押しとマネージャーさんのおかげでスムーズに移行できたので、これまでどおりの音楽活動ができているからです。その点でも、すごく感謝していますね」
――休学についてはいかがですか? 今回メジャーデビューされて、タイアップが決まったりワンマンライブを開催したりと、日本での活動の規模が大きくなっていることも関係しているのかなと思いました。
Kenta「日本に残ることは、本当にラストミニット(直前)に決断したんです。友だちと一緒に卒業したかった思いもありますが、日本にいればこうやって音楽活動がたくさんできますし、学業のことを考えずに音楽に集中できるのがうれしいですね。休学はしているのですが、前進していると思っています」
――前向きな休学なんですね。ところで、1月に“Stay with me (Eng Ver.)”がリリースされた後、“I can’t seem to let you go”のブルー・ラブ・ビーツ(Blue Lab Beats)によるリミックスが出ていましたよね。先日ブルーノートからのデビュー作『Motherland Journey』をリリースしたUKのデュオ、ブルー・ラブ・ビーツは、僕もファンなのでうれしかったです。さらに、“This is how I feel”のエコロジック(Ecologyk)によるリミックスも3月に発表されています。彼はブラジリアンべースの人気DJ/プロデューサーで、レナート・イワイさんが紹介したのだとか。
レナート・イワイ「そうなんです。僕が出会った頃、彼はまだ16歳だったのですが、その後シンガーとのコラボ曲をどんどん出して人気になって、いまやブラジルではかなりスペシャルなアーティストですね。センスがすごく良くて、ジャンルを問わない人だから、今回のリミックスは彼がいちばん良いなと思って推薦したんです」
――Kentaさんの音楽がこうやってグローバルな広がりを見せているのは、とても頼もしいと思います。
Kenta「本当にそうですよね。リミックスをしていただくと、新しいサイドが見えてくるんです。歌い慣れた曲でも新しく生まれ変わった感じがするので、リミックスを聴くのはすごく楽しいです」