古楽器オーケストラの演奏にありがちな刺激的な速さや突き刺さるような音に頼ることなく、シューベルトの愉悦と哀しみを弾力ある音で奏でている。出色の交響曲全集としてお薦めしたい。ミヒ・ガイックはオーストリアの女性指揮者。アーノンクールの影響を受けたとのこと。第1番から第6番はティンパニを心地よいアクセントとして、心躍る音楽。メヌエット楽章では低音の効いた、土香る空気感が良い。“未完成”“グレイト”は心の闇を伝えるアンダンテ楽章とスケールの大きなアレグロ楽章の対比が聴きどころ。冗長さを感じない引き締まった音楽。併録の断片の音楽もシューベルトらしい音楽を味わえる。