70年のデビューから〈若者のカリスマ〉としてフォーク~ニューミュージックの時代を牽引してきた大御所が、52年のアーティスト活動に終止符を打つ最後のアルバム。コロナ禍の影響でラスト・ツアーを断念しての最終章となるわけだが、とはいえ作風にも歌い口にも過剰な気負いはなくいつもの調子。気取りのないタイトルも含めて、普段着の感覚でずっと勝負してきた人だけに、最後まで〈普通〉を心がけたような姿にプライドが滲む。初作の“雪”をセルフ・リメイクした“雪さよなら”には小田和正が声を重ね、“ひとりgo to”では縁深い堂本剛が編曲/ギターで参加(光一はジャケの題字を描いている!)。クドカンのドラマ内で妻の森下愛子が発した台詞に着想を得たという表題曲でふわっと終わる感じもまた凄い。