アイヌ民族が日々の暮らしの中で作り、使ってきた〈もの〉を通して、フルカラーの豊富な写真とともにその〈造形〉をみつめ直す入門書。最近では漫画「ゴールデンカムイ」(野田サトル/集英社)でアイヌ文化に興味を持った人も多いのでは。アイヌ文化は大きく千島、樺太、北海道に分けられ、それぞれに育まれた。印象的なあのアイヌ文様の起源は、ある伝承では虫食い痕とも言われているらしい。装飾性が高くその美しさにばかり目が行きがちだが〈いつ、どこで、だれが〉という情報が欠けているものが多く、そこにある背景に目を向けるべきだと痛感する。明治政府の所業をみれば根深い問題が残っていると分かるし〈アイヌ施策推進法〉が制定されたのもたった3年前。まずはこの本でアイヌ文化のリアルに触れてみてほしい。